実加の真剣な表情に
「分かった、必ず約束する。」
と、麻衣子は頷いた。
あんなに真剣な顔をするなんて、必ず守るからって…何かあるんだろうか、いやきっと何かがあるんだ。実加がこれほど心配する何かが。
とその時の麻衣子は思っていた。
「あの日、ここに来るって決めたとき、美加は必死に私を止めようとして、一人で行くって言ってた。でも、私がどうしても行くって言ったら、必ず守るからって。美加は分かっていて、全部知っていて私を騙して」
「違う❗️」
ケイルが叫んだ。
「そうじゃない、美加は君を騙そうなんて一度も思っていない。」
「でも、美加は私に黙ってた。知っていたなら、何で言ってくれなかったの。」
ケイルは悲しそうな目で麻衣子を見て
「君を危険な目にあわせたくなかった、守りたかった。新一郎の死を知って、悲しむ姿を見たくなかったんだ。」
麻衣子が
「私のため?」
と言うと、広人がケイルに向かって
「ああそうか、実加さんにも少しは未来を見る力があったのか。だから、新一郎さんの最後と、麻衣子さんがどうなるかが分かって」
と言った。ケイルは頷き
「あぁ、そうだ。」
と言った。
「私を守るために」
そう呟いた麻衣子の横で、奈月が青ざめていた。そんな奈月に
「奈月さん、大丈夫だ必ず守るから。」
と、ケイルが言うと、奈月が
「化け物…なんだ。」
と言った。その言葉にケイルは悲しい目をして、
「あぁ、化け物だ…永遠に、人にはなれない。 」
その言葉に麻衣子が
「違う、化け物なんかじゃない。」
と言うと、ケイルが驚いて麻衣子をみた
「実加がおじさんの事を黙ってたのは許せない、でも実加は実加だもの。
ケイルさん達だってそう、同じ人間よ。
だって、今日まで必死に生きてきたんでしょ。
だから、おじさんだってあなた達を救いたかったのよ。」
広人も
「そうだな、麻衣子さんの言う通りだ。同じ人間だ。」
と言うと、ケイルが麻衣子に
「君がそういう人だと、そう言ってくれると分かっていたから、実加はどんな時も笑顔でいられたんだ。」
と言い、黒沢に向かって
「クロード、もう十分だ。彼女達を早くここから連れ出してくれ。」
と言うと、黒沢がスッと現れ
「かしこまりました、さあ参りましょう。」
と促すように麻衣子の背に手を回そうとした時、麻衣子がケイルに駆け寄り腕をつかんで
「ダメ、実加を置いていけない❗️だって、ちゃんと美加の口から、おじの事をなぜ黙ってたのか聞かないと。」
と言う麻衣子に驚くケイル。だが直ぐに落ち着き
「確かに君の言う通りだ。でも、君の力では無理だ。実加は必ず助ける、約束する。だから、今はここから逃げて実加の戻る場所になってくれ。」
と麻衣子を優しく見つめて言った。麻衣子は力なく座り込んだ。そんなケイルに広人が
「まさか君は…」
と言うと、ケイルは微笑み
「広人、彼女達を頼む。これが君の役目だ。」
と言った。広人は頷いた。
「分かった、任せろ。さあ2人とも行こう。」
と言い黒沢は麻衣子を、広人は奈月を立ち上がらせ、 黒沢について部屋を出ていこうとした。その時
「麻衣子、君に会えて君と話せてよかった。出会ってくれてありがとう。」
とケイルが言った。振り返り見る麻衣子の目の前で、扉が閉まった。
