「私のどこがキツいのよ~こんなに美人で優しいのに」
自分で美人言うか?この悪魔どもめ
そう思いながら李々子はドリンクをイッキに飲みほした。空ビンを洗いゴミ箱にいれるとよしっと気合いを入れ
「じゃあPOP作ってきますっ!!」
と言いバックグランドへ向かった。
「はいはい無理しないのよ~」
と、背後からひかるの声を聞きながら、李々子は急ぎ足で去っていった。
「ったく、これ以上いると、何を言われるかわからないんだから」
と、呟いてデスクに向かった。
李々子は、昨日読んだ本と、POP用の紙とペンを用意し、一息深呼吸をして
「よし!やるぞお~」
このPOP広告の良し悪しで売り上げが変わるし、注目されていなかった作品に光を当てることもできる。ああ、何てステキな仕事なのかしら。
と、目をキラキラさせて書き出した。
「で、今日はどこまで見たんですか?その夢」
と、十矢が興味津々で巧馬に話し掛けた。 巧馬は小さく微笑んで
「どこまでって、そんなの教えるかよ」
気恥ずかしそうな巧馬を見て
ほ~かわいいじゃないですか巧馬さん。
今のはモエ確定だな
十矢が呟いた。
「ん?なんか言ったか?」
「本当に可愛いなぁってね」
「悪い十矢聞き間違いなのかもしれないが可愛いって言ったか?」
十矢が呟いた。
「ん?なんか言ったか?」
「本当に可愛いなぁってね」
「悪い十矢聞き間違いなのかもしれないが可愛いって言ったか?」
「うん言いましたよ」
「誰が?可愛いって」
「巧馬さんが」
「いやいや、どこが?」
キョトンとする巧馬の顔を十矢はニヤリと不適に笑いながら覗き込んだ。巧馬はゾクッとして
「おっおい十矢。そのニヤニヤっての気味が悪いからやめろよ。おまえさ最近その笑い方が多くないか、なんか変なもんでも食ったのか?」
と巧馬が言うと、ふいに十矢が真面目な顔で
「やだな巧馬さん、これはね可愛い巧馬さんに萌って事なんですよ」
と言うとすぐさま硬直する巧馬。そこに女性の声がした。
「永塚さ~ん見付けた」
同じ学部の甲斐観月が駆け寄ってきた。
「うわっ甲斐観月だ。逃げないと」
と逃げ出す巧馬
「えっもう甲斐さんここに来てるけど」
と十矢が言うのが先か巧馬のうでを観月はしっかりとつかみ
「今日は逃がしませんよ。サークルにはいるの考えてくれるって言ってましたよね、ね」
と言った。 ヤバイとあせる巧馬に観月は必死になって
「天文サークルですよ、考えるって言ってくれたじゃないですかひどいです」
と食い下がった。
「だからサークルは考え中っては言ったけど天文サークルとは言ってないし、前にも言ったけど興味ないんだよね。だいたいなんで俺な訳?他にもいるよね」
「それは」
「あと用事あるからごめん、行くぞ十矢」
そう言って巧馬は彼女の手を腕からはずし十矢の腕を引っ張り歩き出した。 そんな2人を観月は唖然と見送った。
クスクスクス
「何だよ十矢」
笑いの止まらない十矢。
「ったくなに笑ってんだよ、こっちは必死だったんだぞ」
と、むくれる巧馬に十矢が
「いいんですか?彼女って…まぁいいか。それより多分スゴい誤解したかも、俺は巧馬さんなら構いませんけどね」
と言い巧馬を見た。
「ちょっ俺がなんだよ、それに誤解ってどんな誤解するってんだ」
「そりゃあもちろんBL?」
「BLって?ん?うわっ」
やっと意味がわかった巧馬は十矢の隣から体をのけぞらし
「おっ俺はお前の事は好きだけどその好きとは違うからな、ダチとして好きって事だからな。 だからそういうのは無理だから絶対に無理だからな」
と言うと十矢がポカンとしたあと大笑いをした。
「なっなんだよ❗なに笑ってんだよ」
やっと笑いをこらえた十矢が不敵に笑い
「本当に可愛いなーそんなにムキになって拒否らなくてもいいのに、巧馬さん本当に年上ですか?ったくイジリがいがあって面白いな~そんな巧馬さんだから好きなんですけどね」
と言い歩き出した。巧馬はポカンとして十矢の後ろ姿を見ていた。
「まっまさか」
先を歩いていた十矢が振り返り青くなったりぐるぐる考え込んでいる巧馬をみて
「いつまでやってるんですか!授業に遅れても知りませんよ」
と声をかけた。巧馬はハッと気付き
「うわっやば」
と駆け寄ったが微妙に少し離れて歩く巧馬に 十矢が
「 変に意識しすぎじゃないですか?大丈夫冗談ですよ」
「おっお前な~今度言ったらマジで殴るからな」
「え?これくらいで俺は巧馬さんに殴られるんだ、わりに合わないな」
「うるせー黙れ十矢」
そんな2人の背後から
「昼間っからラブラブっすかあ~」
と呑気な声がした。
振り返ると同じく友人の塩沢 航一郎がいた。その声で我に返った巧馬が
「おいコウ!お前なラブラブって何処をどう見たら 言えんだよ」
巧馬が目を点にしながら焦って言うと
「あっ違ったか、そんじゃ仲良しさんかなぁ~ じゃまた後でぇ~」
と言い元気に教室に向かって去っていった。 ワンコのようなフワフワな栗色の髪にフットワークの軽い航太郎。
「何なんだアイツはチャラすぎる」
半ば脱力と諦めの思いで巧馬が言うと
「だけど、なんか憎めない奴なんだよな」
と十矢が微笑んだ。そして二人は教室に入った。