ウメの家 ウメ、真樹、豊子、布団に寝かされているキイ

タンスから、もんぺを取り出すウメ
ウメ「真樹さん、こんなんしかないけどええで」
ま「あ、はい十分です。ありがとうございます。」
ウメ「そうで?ほんなら、奥で着替えてきたらええわ」
ま「はい、じゃあちょっと失礼します」
去っていく真樹
と「なあ、あの子大丈夫かえ?危なっかしそうじゃ」
ウメ「記憶がないのは、根無し草のようで辛いわなぁ。けどな、きっと大丈夫やと思、はよう家族に会えるとええんじゃけどね」
と「ほうよなぁ、そう言えば、あれから旦那さんから手紙来たで?」
ウメ「ううん、まだ来んのよ心配しとんじゃけど」
と「なんか連絡欲しいよなぁ、キイちゃんも可愛い盛りやし」
ウメ「でもな、便りがないのは良い便り言うし、もう少し待ってみるわ」
と「ほうえ、ほれならええんじゃけど…まあ、うちみたいに便りが来たって喜んだら、戦死報告ってのもけっこう辛いしなぁ」
ウメ「豊子さんとこ、そうやったね…」
と「もう過ぎた話しじゃ…ほんでも、いつかひょこっと帰って来るかもしれんって、思うときがあるんよ」
ウメ「そうじゃよな、私も今日帰ってくるんとちゃうか?って思うときがあるわ」
と「お互いに、待って待ってで人生が終わるんやろか?」
ウメ「ほんま、待って待ってで終わるんかもしれんな」
花子がやってくる
花子「姉さんおる?あ平井さんこんにちは」
と「花ちゃんこんにちは、どしたん?もう工場終わったん?」
花子「はい、さっき終わりました。そうそうあのな姉さん、上からの命令で、今度は家にある金物を集めておけって言うんよ」
ウメ「金物を?それどう言うこと?」
花子「なんでもな、家にある鍋とかヤカンとか、飛行機の部品になるけんいるって言うて集めるんやと」
と「なんやの、この間はベニヤ板も役に立つけんいるって言うて集めとったのに、今度は家の金物でか、そんなんこまるわ」
ウメ「ほんまやね…どしよう」
静がやってくる
静「すいませーん、うちの母さん来てませんかぁ?」
と「あれ、静も帰ってきたん?」
静「やっぱりここにおった、ウメさんいつもお世話になります」
ウメ「いえいえ」
花子「しずちゃん、お疲れさん。そっちも終わったんやね」
静「花ちゃん、え?花ちゃんとこも?まさか」
花子「その、まさかやわ」
静「もう、ひどいと思わん?鍋とかなくなったら、なんで煮炊きするんよ‼」
花子「ほんまよなぁ」
静「それにな、あそこでおったら、時々前線とかの情報が入るやろ」
花子「うんうん、最近機密情報が多いんか、別室でよう話しとるわ」
静「噂なんやけど、日本危ないらしいで」
花子「しずちゃんも感じたん?うちも感じとった」
と「あんたら、よそでそんな話したら大変やで❗」
静「分かっとる、ほなけんここでしか言えんので」
ウメ「ほうやな…最近の空襲の多さは異常やもんなあ」
静「ほうなんですよ、ウメさんなんかあったら、いつでも言ってくださいね。お隣やし、小さいキイちゃんいるんやけん」
ウメ「ありがとう、静ちゃん」
と「ちょっと静❗母さんには優しい言葉ないんか?」
静「母さん、そんなんよりはよう帰って鍋とか半分隠さんと‼全部持っていかれても知らんでよ」
と「ほんまや、全部持っていかれたら困るわ、静はよう帰るでよ。ほなまたな、ウメちゃん花ちゃん」
慌てて帰りだす豊子去っていく
静「ちょっと母さん待ってよ❗ほんま、好き勝手動く人じゃわ。ほなウメさん花ちゃんきいつけてな」
と「静~❗まだなにしよん、はよ来んでかだ❗」
静「ハイハイ、ちょっと待ちでや、ほなまた」
去っていく静