いつか娘とまた対立することのときのために。
娘は、いつの間にか、私の顔色をみることが増えた。
双子の兄は、病弱で、赤ちゃんのときから私とベッタリであった。
痙攣も、入院も、数知れず。
わたしの姿が見えなくなると呼吸困難になる。
そんな彼を私は常に肌みはなさず側に置いた。
娘はいつの間にか、自立し、私以外のすべてのひとを受け入れる事のできる能力を身につけた。
熱が出ても私を求めない。
自力でなおす。
これ、幼児期の話。
あの時、私は娘は偉いと思った。
なんて、できた子供なんだろうと。
なんて、浅はかだったのか。
娘はまだ赤ちゃんだ。
そんなの、我慢以外のなにものでもない。
ある日、娘が葡萄の皮が喉にひっかかったと訴えてきた。
娘の嚥下障害の始まりである。
ありとあらゆる、病院にかかったが、喉にそのようなものはない。
しかし、娘は物を飲み込めない。
口に入れてはティッシュに吐き出す。
なぜなら、喉に何かつまっているから。
娘はみるみる痩せていった。
ちょうど、二年生の夏休みで、私の父がいよいよ緩和ケア病棟に入院したときと、娘の嚥下障害は重なった。
父の看病と娘のケア。
忘れられない夏休みだった。
父は亡くなる直前まで、娘の心配をしていた。
私は娘に過敏に反応しないふりをした。
吐き出しても、普通にした。
徐々にのみこめるようになり、今では肉も何でも食べられる。
しかし、娘は私ベッタリになった。
そして、私に、愛情を、確認するようになった。
私は娘が愛しくてたまらない。
常に娘を、心配している。
かわいい。かわいい。
しかし、どこかで、このはかない、折れてしまいそうな彼女心のスイッチが、またおされるのを不安に思っている。
長男次男には時に怒鳴ることもある。
しかし、娘にはしない。
しっかり、話す。
そう意識してきた。
しかし、昨夜私は彼女の頬をビンタした。
私の母に対してあまりにも、生意気な口調だったから。
そしてそれを注意した私にも同じことをしたから。
ボーイズだったら、完全に鉄拳制裁れべる。
娘も私も、動揺した。
母は、私をせめた。
わかる、わかるよ、孫が殴られるのは見てられないよね。でも、子供の前で、いまは黙ってて。
暫くして、私は娘と話した。
時間をかけてゆっくりと。
そして、昨夜は一緒にねた。
彼女の赤ちゃんのような寝顔を、何度も何度も撫でながら。
左ほほをさすりながら。
今朝、元気に起きてきた娘をみて、ほっとした。
塾帰りの長男に一部始終話したら、長男は娘を抱きしめていた。
みんな、娘には甘いのだ。
今日はパパに報告しなければ。