”ましろのみるゆめ” | 緑のアロマ 青い波音

緑のアロマ 青い波音

日常と拙い詩、他愛のない話、情景の切り取り



 




つぼみが降る
花の大木の
白く白く、辺りに重なる
僕は木にのぼり
ましろの香りに酔うている

君は光待ちて
薄紅色に花を染め
静かな月を待ちながら
ちいさな約束
しんじているんだ

月がのぼる

眠る花が咲き誇り
甘い夢に匂っている
君はうっとり待ちわびて
いつまでだって
夢にいるから

届かない月の舟
一番星は明けの空

白く埋めるそのつぼみ
不意に
薄紅の花が、
ぽとりと染める

涙でなくて夜露なの
どこまでだって
君は頑なに
明ける空に願いをかける

一緒に行こうと君を奪い
恋する瞳に幾度も囁いた少年よ

日々の訪れは月の影
はじめから
いなかったかのように

行こう、と
抱き締められた腕の熱
一緒だよ、と
囁かれた笑う声
やさしげな笑みを空に映して

消えてしまった

咲き溢れる薄紅のままに
甘い香りに君は酔う
泣かない瞳に白くつぼみが
幾つも降りしきり
大地を埋める絨毯になる

目を閉じうとりと
大木の幹に笑み眠る

ぼくは花を降らせ
君をあたためる
白く白く、真綿の白さで



あたためている