『神聖少年図鑑』

第ニ章・天野さん


少年→少年→少女という

一方通行の恋を書いています。

 

 






2・天野さん


「泣いてるよ」
 まるで小さな子供の過ちを
咎めるような声色。



「見てたのか?」
 彼は見る見る顔を赤く染め、
最悪……と小さな声で言いながら
私を置いて去っていった。



私は体を支えていることが
できなくなって、
頽れるようにその場に
しゃがみ込んだ。




「大丈夫?」
 広瀬の影がかかって、
遙か上の方から声が聞こえてくる。
私は怖くて震えていた。



「あいつ、なんか色々と
飛ばしてる感じするよな」
 中学生なんてせいぜい手を繋ぐ程度だろ? 
自分の彼女だからってやっていいことと
悪いことってあるよな、
とまるでこちらの反応を探るようなフォロー。



けれど、短い沈黙の後に続いた声には、
私を咎めるような刺々しさがあった。



「でも、お前も相当いろんなこと
飛ばしてる感じする」
 私は思わず広瀬を見上げた。



「だって、あいつと付き合ってるの
ほとんど慈善事業だろ?」
「なんでそんなこと……」
「今に始まったことじゃない。
天野はずっと正義中毒」



「やめてよ!」
 私は立ち上がり、声を荒らげた。
「じゃあ、あいつの好きなところ
ちゃんと言えんの?」



口ごもると、広瀬は
勝ち誇ったような目になった。



「あいつといる時の天野の目、
全然輝いてないし、なんか
重労働に耐えてる
奴隷みたいで同情したくなる。



お前がやってることって
ある意味自己破壊だよな。
自分のことを大事に
できないやつって、
大概相手のことも不幸にするんだよ。



あいつのことを思うんならさ、
ちゃんと振ってやるのが礼儀だと思うぞ」
広瀬はサディスティックに続けた。



「お前さ、どこかで自分が
おかしいってことに気づかないと、
取り返しのつかないことになるんじゃね?」



 私は何も言い返すことができなかった。
苦虫を噛み潰したような顔で
ジッとこちらを見ていた
広瀬だったけれど、



やがて諦めたように背中を向けた。
去っていく広瀬の
大きな背中を見つめながら、
私の頭の中で取り返しの
つかないことになる、という声が
何度も響いて焼き付いた。





 【続きます】







ピンタレストの方も開設しました。

今後、画像でショートショート

みたいなものも表現していく

予定です。

ぜひぜひ覗いてみて

ください♡







 



 

 

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