『神聖少年図鑑』
第ニ章・天野さん
少年→少年→少女という
一方通行の恋を書いています。

2・天野さん
中三のあの日。
昼から天候が崩れて、
大降りの雨になった。
教室の窓からはグランドを
打つ雨粒が土煙を立てて
いるのが見えて、窓を閉めて
いるのになぜか埃っぽい匂いが
鼻孔にまで流れ込んできた。
クラスメイトの男子が言った。
やべぇ、俺傘持ってきてねぇ。
それを聞いた瞬間、
私はほとんど反射的に
自分の鞄から折り畳み傘を
取り出していた。
これ、私二つあるから
よかったら使って。
その子は戸惑っていたけど、
ありがとうと言って受け取った。
けれど、いざ帰ろうと
傘立てのところに行ったら
私の傘はなくなっていった。
常に常備しておいたはずなのに、
その日に限ってどこにも
見当たらなかった。
仕方なく私は雨に濡れるしかなかった。
それを何人かのクラスメイトが
見ていたらしく、
翌朝学校に行くと
変な噂を立てられていた。
天野さんは◯◯くんが好きだから
傘を貸して自分は濡れて帰ったらしい。
もうその頃、私は広瀬に
片想い中だったから、
正直これには困惑した。
けれど、どうしても否定することが
できなかった。
私が「違う」とムキになって
抗議したら、その男子が
酷く傷つくんじゃないかと思った。
そんな振る舞いをする権利は
私にはない。
結局どうすることが
正解なのか分からず、
俯きながら黙っていたのだけど
これも良くなかった。
余計に、私がその子を好きだという
ことの信憑性を持たせるはめになった。
【続きます】
ピンタレストの方も開設しました。
今後、画像でショートショート
みたいなものも表現していく
予定です。
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