『神聖少年図鑑』
第ニ章・天野さん
少年→少年→少女という
一方通行の恋を書いています。

2・天野さん
「音琉ちゃん」
名前を呼ばれ振り返ると、
親友の茉莉奈が腕に絡みついてきた。
「ねえ、広瀬の言う通りだよ。
男なんてさ、プライドの生き物じゃん。
女子からああいう感じで
責められると変に根に持って
危ないんだよ」
「分かってる。でも仕方ないの。
広瀬も言ってたでしょ。
私、正義中毒だから」
自虐のつもりだったけど、
自分の口が発した「正義中毒」と
いう言葉に怖さを覚えた。
中毒って、快楽を求めて
やめられなくなって、
日常生活が破綻しちゃうってことだ。
私は昔から何にでもすぐに
首をつっこんじゃうし、
自分が出る幕じゃないと
自制していると、胸がドキドキ
してきて不安になる。
でも、そこに快楽があるかと
言ったらそれは違う。
困っている人を助けたいと
思っている時、
虐げられている人を
救いたいと思っている時、
そこに「私」はいない。
私は「私」を供物のようにしか
考えていなくて、
別にそれが苦痛ではないけど、
やっぱり普通じゃないとは思う。
「音琉ちゃんの優しさは尊いよ。
誰もができることじゃない。
でも、そういうのを
気に食わないって思っている
人間もいるからさ。私は心配なわけよ」
さっき、中野さんのグループが
こっちすごい目で睨みつけてたよ。
あの人、広瀬のこと好きだから
根に持たれたら面倒だよ、と
茉莉奈は本当に心配で
仕方がないという顔で言ってくる。
私は分かった分かった、と
答えるけど、中野さんが
広瀬を好きだという部分が初耳で、
ちょっと困った。
多分、広瀬を好きな時間は
私の方が長い。
同じ中学で家も近所で、
特に待ち合わせをしていた
わけじゃないけど、
家を出るタイミングが重なることが
多くて、時々一緒に登校していた。
【続きます】
ピンタレストの方も開設しました。
今後、画像でショートショート
みたいなものも表現していく
予定です。
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