病弱な高校生少年と級友の友情を描いた物語です。憧れが羨望になり嫉妬になり、やがて愛情へと変わってゆく思春期の繊細な心の揺らぎを連載でお届けしたいと思います!
放課後、学校前のバス停に向かって歩いていたら、
背後から声をかけられた。
天野さんだった。
認識した途端、全身の毛穴がキュッと閉まるような
感覚に見舞われた。
「金井くん、ちょっといい?」
口元には疲れたような笑みが浮かんでいる。
「さっきのことなんだけど」
「さ……。何?」
まず、天野さんが僕の名前を認識している
ということの驚き。
喜びというより恐怖だ。
「津島たちがまた金井くんのこと、その……。
からかってきたらさ、大きな声で私を呼んで。
すぐに駆けつけるから」
「え?」
僕は耳を疑う。女の子に助けを求める?
いったい、天野さんはどんな立ち位置で
そんなことを言うのだろう。
「変なこと言ってるって思うよね。
なんか、ごめんね」
じゃあ、と肩のあたりで手を上げて、
天野さんは校舎の方へと戻って行った。
バスの最前列の席に座って、
見るともなしに窓の外に目を向ける。
天野さんのややハスキーな声が
頭の中で響いている。
あっ、ダメだ……と思った。
声に導かれるように天野さんの顔が現れて、
瞬きをした次の瞬間、黒々と光を湛えた
大きな瞳には僕が映っていた。
血を抜かれたような青白い顔をして、
心臓が止まるのと引き換えに
最低限必要な筋力すらも奪われた哀れな病人。
病人は求めている。
そこに映っている自分が次の瞬きと同時に、
精悍な小麦色の少年になっていることを。
だが、少年はなかなか現れない。
僕は声に出して言った。
ダメだ。このままじゃダメだ。
【続きます】
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