病弱な高校生少年と級友の友情を描いた物語です。憧れが羨望になり嫉妬になり、やがて愛情へと変わってゆく思春期の繊細な心の揺らぎを連載でお届けしたいと思います!
【前回はこちら】
母が僕を永遠に失うことを恐れるように、
僕は母が不安に壊れていくことを恐れている。
単身赴任の父がバンコクに立つという日の前日、
僕を書斎に招いて言った。
父さんがいない間、お前が母さんを守るんだぞ。
頼んだぞ。
なのにこのザマ。守るどころの話じゃない。
母の目の前で、僕はまんまと死神に付け入られ
首に縄を掛けられてしまった。
母が日々のルーティンを怠れば、
背後の死神が縄の先端を引っ張って、
いつだって僕を絞首刑にする準備をしているんだ。
でも、それは脅しなんかじゃない。
死神に慈悲も猶予もあるわけがない。
ただの反応。冷酷で無機質な条件反射──。
すると、母はおそらく自ら縄を自分の首に
巻くのだろう。
首がだらんと伸びてしまった僕から
慎重にそれを抜き取って、恍惚とした表情で、
ゆっくりと巻いてゆくのだろう。
死神はまた反応する。
僕の時と同じように。
縄の先端を握って、今度は父が毎日の連絡を
怠ったら即座に縄を引くように準備している。
要するに、僕が死んだらこの家は終わり。
脆い僕と不安定な母と遠い異国の父。
バラバラになって、粉々になって、
風が全てを持ち去って、最後に残るのは、
もっとほかに方法があったんじゃないか、
という後悔だけ。
でも、それを感じているのは誰?
【続きます】
\タップしてね/
\Follow me!/
☆文豪、川端康成か織りなす少年愛!
「お前の指を、腕を、舌を、愛着した。僕はお前に恋していた──」
☆折口信夫の『口ぶえ』は男子学生同士の切ない純愛を描いた名作!
「醜く穢れた気持ち、これが恋なのだろうか──。」





