折口信夫作品集
『身毒丸』
『神の嫁』
『生き口を問う女』
収録!
大好きな人がいた。いつも彼のことを考えていた。誰にも言えずあふれる慕情を歌に託して詠むことを覚えた。そして悟った。
歌は恋。恋こそ歌。
病弱な高校生少年と級友の友情を描いた物語です。憧れが羨望になり嫉妬になり、やがて愛情へと変わってゆく思春期の繊細な心の揺らぎを連載でお届けしたいと思います!
芝生に寝そべって目を閉じていると、
自分の負っている運命が
至極ちっぽけなものに思えてくる。
澄んだ空。
優しい風。
どこからともなく漂ってくる
甘い花の香り。
全部が全部虚構じみていて、
自分は世界の中心なんじゃないかと
勘違いを起こさせる
昼休み明けの微睡(まどろ)み。
クラスメイトたちの声がなかったら、
僕はずっとそこで揺蕩(たゆた)って
いられるだろう。
あれは現実。
逃れようのない現実。
ちゃんと分かってる。
目を閉じたくらいで運命から
逃れられると思うなんて、
浅はかにもほどがある。
例えば、人間を細かく分類する
図鑑があったとする。
その最初のページを開くと、
そこにいるのは決まって
あいつみたいなやつなんだ。
全人類の模範みたいな
爽やかな笑みを浮かべて、
いつだって持たざるものを
高みから見下ろしている。
理想的な人間像をページの最初に
持ってくるのは、
その後に続く分類の見劣りを
どうでもいいことだと
思わせるためだ。
しなやかな曲線を帯びた
引き締まった体。
太陽の寵児のような小麦色の肌。
確かな観察眼で
調和を重んじることに
余念のない強い瞳。
そういう、生まれながらに
幸せが約束されているような
人間のインパクトってのは、
他を霞ませていくらでも
取るに足らない問題にさせてくれる。
要するに、僕たちその他の人間は
現実の残酷さってのを
うまい具合に誤魔化して
生きていくことができる。
昼休み明けの微睡みのおかげで。
どこまでもキラキラを放つ
あいつみたいな人間のおかげで。
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☆文豪、川端康成か織りなす少年愛!
「お前の指を、腕を、舌を、愛着した。僕はお前に恋していた──」
☆折口信夫の『口ぶえ』は男子学生同士の切ない純愛を描いた名作!
「醜く穢れた気持ち、これが恋なのだろうか──。」






