ラモ's kitchen -3ページ目

ラモ's kitchen

15年ぶりに再始動
ざっくり言うと
  レストランを転々とし
    2か国の公邸料理人を経て
      いまはスイスで出張料理人

飲食店の面接で聞かれる定番の質問だが、「はい!好きです!」て答えるやつには注意が必要だ。

 

私ならこう答える。

 

「好きではないです。でも楽しいです。ニコ

 

おそらく採用されないでしょう、こんな面倒くさいやつ。

 

でもこれが本心です。

 

料理をまともに作ろうと思ったら本当に手間かかる。食材揃えて、下ごしらえして、切って、火を入れて、盛り付けて、後片付けして。。

だから好きにはなれない。

 

同様に忙しい生活の中で毎日の料理に苦しめられている人はこの世に溢れてます。

結果、時短料理やズボラ料理といったレシピがウケている。

 

中でも電子レンジを使った調理レシピが日本ではトレンドのようだ。海外レシピも漁ってみたが、日本ほどレンチン頻度は多くないように思う。オーブンが主流だから、マイクロ派有害説が根強いから、余暇時間が長い分料理に時間を割けるから、そもそも夕飯は温かい料理を食べないから(ドイツ)、、など浮かぶがどれも確証はない。

 

©ドイツ生活とドイツ語学習の忘備録

 

私も温めなおし以外ほとんど電子レンジは使わない。楽しくないから。

 

容器に入れて、ラップして、〇〇wで〇分加熱して、一回取り出してラップ外して、かき混ぜたりひっくり返したりして、またラップして、今度は〇〇wで〇分にセットして、取り出してみたら火入れが不十分で、そこから5秒ごとに開けたり閉めたりしながら様子を見る。

 

もちろんこんなのばかりでなく、秀逸に練られたレシピも存在するでしょう。

 

調理時間を短縮して自由な時間を手に入れる代わりに、五感をフルに使うゲームを放棄していますよ

 

普段の生活で五感を同時に使うことってなかなかないです。複数の料理を同時進行とかしちゃった日にはもう脳みその電気信号えらいことになってます。

五感を使う。交感神経が高鳴る。その後落ち着くサイクルが、きっとサウナの「ととのう温泉」に近いのだと思う。

ゆえに中毒性あり。

 

プロの現場で電子レンジ調理が採用されない理由としては、大量調理には向かないこと、加熱工程が見えないリスクを取りたくないこと、そして何より楽しくない。

 

毎日の料理に苦しめられている人こそ、電子レンジから少し離れ、鍋とフライパンと火を使ってととのってみてはいかがでしょうか。

さて、小腹すいたから何か食お。チーン音符

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バンビーノ!」という漫画をご存じだろうか

 

 

大学生だった主人公がイタリアンの世界に身を投じ、悪戦苦闘しながら料理人として成長していく物語だ。当時松潤主演でテレビドラマにもなっている。

 

なぜ料理人になろうと思ったのか

 

この15年間に何万回と浴びた質問だ。

 

答えはその時々で変わる。適当に取り繕う自分を冷笑している別の自分がいる。

 

今後も必ず出題される‘‘おいしい‘‘問題なわけだから、予習しておくのが当然である。

北予備生ならわかるよね。

 

それについて真剣に考えてみたことはもちろんある。だがいつもそれは徒労に終わる。当時の自分の感情を思い出すなんて不可能だった。

 

初心忘れるべからず

初心忘れるでかならず

 

バンビーノの漫画が好きだったことは間違いない。だがその漫画がきっかけではなかった。本を手に持ち読みながら、これからこんなクレイジーな世界で戦っていくんだと、そこには確固とした決意がすでに存在していた。

 

幸いこのブログには過去の自分の文章が残っていたから読み返してみた。料理人を志すきっかけの片鱗が残されていないかと期待してみたが、残されていたのは若さという愚かな熱量だけ。覚えているのは、イタリアを旅している時にバックパックには「イタリアの郷土料理」というタイトルの分厚い本を入れていたこと。州を跨ぐたびにその地方の特産品をマーケットで探したり、予算の許す限り郷土料理を食べて回った。

 

ラモは当時のあだ名で、タレントのジローラモ氏からきている。それほどイタリアに憧れていた。

 

数年後にフレンチに転向すること、その後実際にフランスに移り、いまはスイスにいることなど、この時は露ほども想像していなかった。このあたりの経緯、心境の変化は詳細に覚えている。

料理人になろうと思ったきっかけ、これだけが記憶から欠落しているのである。

このブログを続けていくうちに思い出すこともあるだろう。

また更新が止まった時は、なにかしらの天啓があったと思ってほしい。

 

 

 

 

それはまさにタイムカプセルのデジタル版

 

15年経ったいまこのブログを呼び起こせたことの興奮がまだ冷めやらない。

 

セキュリティーという概念がゼロだった当時の自分が、何も考えずにパスコード設定した厨二病の羅列。それが功を奏し今こうして当時の状態のままのブログに再ログインできたわけである。サイバーエージェント神だわ

 

いま読み返すと本当に恥ずかしい内容だ。だが許される限り過去の投稿も残していこうと思う。記憶はほとんど消えてしまったが、そこには若く懸命に生きていた自分の息吹が存在している。

 

大学最後の夏休みに敢行したイタリア一周の自転車旅。おそらくこのブログはその道中を記録し身の安全を周知するために始めたのがきっかけだったと思われる。当時はwifi?何それ美味しいの?状態だったし、iphoneも発売されたばかりでばきばきのガラリアンだったわけで、毎日ネットカフェを探してはぱちぱちと当時の心境をブログに書き綴っていた。それはもはや誰かに向けたものというよりも、およそ2か月もの間たった一人で旅していた孤独を癒すためにパソコンに向かっていたと言えるだろう。

 

そして料理の世界に入って3か月のところで投稿は途絶えた。もうそれどころでなくなったことは想像に難くないだろう。

 

あれからおよそ15年

 

「懲役40年」のもうすぐ折り返しが見えてきたところ。幸いまだ料理は続けている。状況は目まぐるしく変わり、いろんなことが起こった。その記録を少しずつ書いていこうか。もうすぐ生まれる我が子が15年後、読んでくれることを期待して。