タイトル: ちびくろ・さんぼ
ヘレン・バンナーマン
Helen Bannerman
(文), フランク・ドビアス Frank Dobias
(絵), 光吉 夏弥
(訳)
あるところにかわいいくろいおとこの子がいました。
なまえをちびくろ・さんぼといいました…。
★★★
光吉夏弥・訳。幻のベストセラー岩波版絵本ついに復刊!
本書は、わが国では1953年に岩波書店から発売され、1988年に絶版になるまで、日本中のこどもたちに親しまれていた絵本です。その後も復刊を望む声は多くありましたが、岩波書店はもちろん、どの出版社も、それに応えようとはしませんでした。
小社でも検討に検討を重ねた結果、その内容や文章表現に何らの差別は無いと判断し、復刊することにしました。
※とらとバターの話のみ収録されています。 《出版社(瑞雲舎)より》
上(※)にあるように、物語そのもの、原書に忠実な訳本を読みたいのであれば、径書房版『ちびくろさんぼのおはなし
』をお薦めする。
今回復刊されたのは、1999年に絶版とされた岩波版の「ちびくろさんぼ」である。絶版となった経緯については、以前別のところ
で書いたので、そちらを参照のこと。
復刊ドット・コムには、同書の復刊を求める600票を超えるリクエスト
があったが、岩波側は「差別表現問題で刊行不可」と回答をよせていた。 岩波という名の通った出版社だけに、各方面から様々な意見や圧力があったことは想像に難くないし、廃刊したことへのこだわりや再刊することでの影響等々を考えてのことだろうけれど、それだけに老舗としての懐の深さ、気骨のあるところをみせて欲しかった。
目の届かないところへ隠したり、言葉を言い換えたところで、差別がなくなるわけではないし、安易にそうすることで「差別なんて存在しない」等という変な誤解を生むのではないだろうか? こう云った本を手にとった上で何が差別なのかを考えることこそ、「差別」に向き合う正しい姿勢だと思うのだけれど…。