昨日の朝から散歩を始めた。

朝食の前にほんの数十分。

「季節がどんどん夏に向かって行くでしょ。私は今の季節が一番好き」

裕ちゃんは私の手を引く。「恥ずかしいよっ」

私が照れていると「いいの、いいの朝だから」と意味不明です。

ああ、風が気持ちいいね。
「守備は一流だけど…」

宮本慎也にはこういう表現がお決まりだった気がする。

確かに長打はなかったけれど、時々見事なセンター返しを見せてくれた。

PL出身、立波の後輩、社会人を経てスワローズに入団。

プロ野球の厳しさに埋もれて消えてしまってもおかしくなかった。

そんな宮本慎也が2000本もヒットを打つなんて…。

私の経験上、守備は練習と努力で何とかなる。

しかし、ことバッティングに関しては努力や練習でうまくなるほど甘くはない。

宮本慎也の血の滲む努力が想像に難くない。

おめでとう!宮本!

あんたは偉い!

職場復帰に向けて施設の資料や様々な書類に目を通していた。

やはり高揚感が違う。

やはり嬉しいのだ。

仕事をしていない自分をどこかで蔑んで…。

「あんまり根詰めないで…と」部屋に入ってきた裕ちゃんが、げらげら笑う。

「だって、一平ちゃん一瞬、お坊さんに見えたからハハハ…。」

この家には笑いが絶えない。私が笑い始めるのではなく、いつも裕ちゃんが笑いだす。

裕ちゃんは笑いの天才だ。
なぜなら、こんな私を毎日、笑わせているのだから。