復職が決まり少しずつ緊張も嬉しさも込み上げてくる毎日。

一番の不安は現場や職員たちとコミュニケーションがちゃんととれるか、また利用者さんたちの情報を全く知らないので、その情報収集にもかなり骨を折るだろう。

不安も希望も果てしない。

そんな中で一番、楽しみにしていることは「ハルコ」とまた一緒に仕事ができること。

ハルコとは以前に今回のように新しい施設を立ち上げる時に出会った初めての女性上司。しかも年下だった。

その時は彼女が主任で私が平の職員だった。

二歳年下の上司…。
ちょっと厄介だな。

と思っていたのは初日だけだった。

とにかくハルコは仕事ができる。利用者さんとのコミュニケーション能力も高い。

そして何より、職員の動かし方も見事だった。

普段、ハルコは勤務中は私を「一平くん」と呼んだ。
しかし、一度勤務時間が終わると「一平さん」になる。彼女は仕事とプライベートをキッチリ分ける人で施設を出れば私に敬語で話した。

真面目なんだなあ。基本的に。

仕事をやる上で意見が重なることが多く、ある程度、信頼関係が出来た頃からハルコはよく「一平さん、この後、飲みに行きませんか?」と誘われた。

私は「私、酒飲みませんけど、それでもいいですか?」と。

私はハルコがどうしたいのかはわかっていた。

彼女は「愚痴」を聞いて欲しかったのだ。

やはり、職場での緊張感や責任の重さや、自分がやっていることが間違っていないか不安だ、と打ち明けた。

「そうか、ハルコは本当に真面目なんだね」

私はしみじみ、兄のようにやさしく呟いた。

それから、私とハルコは仲良くなっていった。強力に。

しかし、誤解のないように。男女の関係なんかには全くならなかった。

お互いに彼氏、彼女がいたし、逆にそういうけじめがしっかりつくからこそ更に信頼関係は深くなったんだと思う。

さあ、これから。今回は本来はハルコが課長、私が主任として新しい施設の船出のはずだったが、私のアクシデントがあり私は主任の座からは降りた。

まあ、それはいい。

今は早くハルコや私も面接をした新卒の若い職員と早く現場に立ちたい。

そして、ハルコが上司なら安心して働ける。

必ず。