試用期間を設けた採用では採用時点で労働契約は成立しています。
勘違いしてはいけないのは試用期間がひとつの期間契約で、
本採用で新しく契約が始まるわけではありません。
本採用拒否は解雇にあたり正当な理由がなければ解雇無効の裁判に発展する可能性もあります。
労働者を解雇しようとする場合には使用者は労働者に対し30日前に予告するかその日数分の平均賃金(解雇予告手当)の支払いをする必要があります。
使用開始から14日を経過していないものについては、解雇予告手当を支給することなく即日解雇できることになります。
14日を超えて使用された場合には解雇予告制度が適用されます。

試用期間が設定されていても労働契約は成立しているため本採用拒否は
解雇にあたります。
正当な解雇理由で解雇をしないと不当解雇だと訴えられるケースも多いため注意が必要です。また会社の就業規則には解雇事由を明記することが義務付けられているため就業規則に記載のない解雇事由で解雇をすることができないことになります。さらに解雇の理由を求められた場合はなぜ解雇したのかを明記した証明書を発行する必要がある点にも注意しましょう。

本採用拒否が認められる基準
本採用拒否が認められる基準については最高裁は採用時にすることができない事実を知りその事実によってこれを継続することが適当でない場合と示しています。

(三菱樹脂事件裁判昭和48年12月12日)

具体的には勤怠不良や業務命令が協調性不足、能力不足で改善の見込みがない場合、業務遂行に支障がある健康状態などが想定されています。想定される本採用拒否の事由を就業規則などで規定してください。


正当な理由がある解雇とは?


☆経歴を詐称していた場合
職務と密接に関連する資格に関して取得していなかったなど、重大な経歴詐称をしていたなど

☆勤怠不良である場合
指導教育を何もしてないのに解雇してしまうと問題になります。

☆病気や怪我で休職しているようなケースで復帰後に就業が難しい場合
昼食後30日間は解雇することができません治療すれば復職できる状態になるのにいきなり解雇するようなことは問題になります。

☆協調性がない場合
会社が本人に指導をしても反抗し続け改善の見込みがない場合のみです。
 

☆期待していた能力が無く成果も出せない場合
社員を教育することが必要でその上で成果が出せないなら配置転換なども実施します。

成果を重要視する場合は、雇い入れ段階で要求する能力や成果について詳細に合意していくことが重要です明確な基準があればお互いに納得できるのでトラブルになるケースは少ないと言えます。
例えば、 試用期間中〇〇万円売上を上げる、社内試験に合格するなど

注意するべき解雇
・経験者の採用で成果が出ないために解雇
経験者を中途採用する場合は試用期間中に期待値が高くなり、本採用の判断基準が難しくなるケースあります。プロセスは問題がないのに成果だけで解雇判断することは不当解雇となる可能性が高いです。
・未経験者、新卒採用者を能力不足で解雇
未経験者を採用したにも関わらず適切な指導教育なしに能力不足で解雇しますと判断するのは非常に危険です。

本採用拒否は不当解雇として訴えられる可能性があるので、正当な理由に該当するような事実に関して書面で証拠を残しておきましょう。
何を確認するために試用期間を設けるのか、試用期間中の指導・教育体制などを社内で細かく決めておきましょう。


本採用拒否の通知
本採用拒否をする場合は試用期間満了通知書を交付します。
試用期間満了、本採用拒否の理由(就業規則の対応条文)記載し、この通知が労基法所定の解雇予告通知を兼ねている旨の一文を入れていくことがポイントです。