続き

 

 

「…そうですねぇ。いい方法ですか」

う~んと少し考え込みながらレファンさんは手に持っている本にしおりを挟み…、

剣を扱うには重心も大切ですから体幹を鍛えるのはいかがです?と本を閉じ、また本棚に目線を移した。

 

体幹かぁ。バランス感覚が全くないわけでは無いけれど、鍛えるとすればロチュス様のお茶の時間に片足を少し浮かす…とか、

少しの時間で出来るかもしれない。

 

「…ハァ。」

ため息がした方を見ると、レファンさんが少し眉間にしわを寄せ私を見ながら呆れていた。

 

「なっ、なぜそんな顔をするんですか!?」

「比較的に平和な国の方なら、少しの時間で少しの行動を積み重ねれば、何とかなるのではと考えていらっしゃるような顔をしているからですよ」

 

うぅ…、見抜かれた。

そしてイヤミまで…。最近ストレス溜まっているのかな。

 

「よろしいですか?体幹は、ただバランス感覚があればいいわけではありません。姿勢もきちんと背筋を伸ばして前を向き、力まず重心がどこにあるのか意識するだけでも違うのです。剣を振るうにも、きっと重心は上にあるのでしょうね。だからキャプセラにもそのままでは危ない倒れ方をするといったんだと思います。もっと重心は下ですよ、貴女は出来ていますか?」

 

「い、いえ…」

 

「…ふぅ、意地悪が過ぎましたね失礼いたしました。筋トレを行っている際、どこの筋肉が動いているか・体のどこを伸ばしているか意識するでしょう?それと同じですよ。剣を構える際少し足を広げて軽く膝を曲げるだけでも重心が下に下がり土台が安定します。行ってみてください。」

 

「なるほど!ありがとうございます。」

 

よし、早速取り入れてみよう!

 

 

ーーーー

 

 

彼女はピシッと背筋を急に伸ばし始めたかと思うと、そろそろお茶の時間なので行ってきますと部屋を出て行った…。

ふぅ…。悪い人ではないんだが、あまりにも未熟すぎる。

 

退職するまで2ヶ月を過ぎた今、今更体幹を鍛え始めるなんて一体いつまで掛かるんだと愚痴をこぼしかねない。

平和な国に産れ育ち、戦う方法もしらない人に一から鍛え上げるのに3ヶ月なんてあまりにも無謀だ。

何でこんなことになってしまったのかと幾度となく心の中で問いかけてきたが、模範的な回答なんて出てきやしない。

悩みの種が大きすぎるのとタイムリミットが足りなさすぎて、どうしろというんだ…。

 

思わず彼女にもイヤミを言ってしまった。

いや、彼女に当たってもどうしようもないことなんて分りきっている。

平和ボケした彼女に何かしら力が目覚めて欲しいものだ。なんたってロチュス様が見初めたからだ…。

いやほんと目覚めて早く!!

 

手に持った料理の本に思わず力が入る。

あともう一冊いいのがあればと思い、背表紙に書かれた表題を眺めるが頭に入ってこない…。

 

王に時間を延ばしてくれるよう相談してみるか…。

 

「ハァ…頭も痛い」

 

 

続く