続き...
体調を崩し復帰してから一週間後...
すっかり治り、従者としての流れもなんとなく分かって来た。
魔法の練習もしているが、まだ出ない...。
「サラ...貴女が従者になる前にお話しした、身に着けてほしいことを覚えていますか?」
早朝...ロチュス様が起床する少し前の時間、大きな階段を降りながらレファンさんの話を聞く。
「えっと...確か、従者と護る力...でしたっけ?」
「ええ、今日からは護る力も付けて行ってください。」
とレファンさんが言い放った所は、ちょうど玄関の広い空間...。
ラフな格好をしているが身なりがきちんとしていて、ふわふわとした白のミディアムヘアの可愛らしい女性が立っていた。
騎士だ...。
「はじめまして、キャプセラと申します。」
「はじめまして、サラと申します。」
「これから従者と騎士を交互にしていきますので、スケジュールはこれに書いてあります、ではよろしくお願いします。」
とレファンさんが紙を渡してくれた。
そして、あとはよろしく...とキャプセラさんに言って去って行った。
「では、付いてきて」
そう言ってキャプセラさんは歩き出す。
後を付いていくと、女騎士団の所へ着いた。
城内の敷地内なのかと思うほど広く、雰囲気も違う...。
進むと広場があり、更に奥に進むと居住区のような建物に着く。
中に入ると、バタバタと忙しく女性陣が行き来している。
3階...
コンコンコン
「失礼します」
キャプセラさんが扉をノックし開けると、少し広い応接室のような部屋に長髪の赤毛の綺麗な女性が立っていた。
「いらっしゃい、貴女がサラさんね?初めまして、女騎士団長のローズ・ブロンシュと申しますわ。」
赤毛の女性が微笑む。
絵になるなぁ...。
「初めまして、サラと申します。」
「今日から掛け持ちしてさらに忙しくなるだろうけれど、頑張ってね?何か困ったことがあれば何でも言ってちょうだい。」
「はい、ありがとうございます。」
「では、キャプセラさんお願いね。」
「はい、ローズさん。さ、こっちよ。」
そうしてシャワー室や食堂、室内訓練所などを案内してもらいながらキャプセラさんの後に続くと、1階一番奥の扉の前で止まった。
「ここが、あなたの部屋よ。サラって呼ばせてもらうわね。」
「はい」
ガチャ...
扉を開けると、奥に窓辺と勉強机・左の手前がクローゼット左奥にはベッド、右側には服をかけるフックがあり、狭いが十分な広さの部屋だった。
「普通、4人部屋なんだけどあなたは行き来するからって特別に一人部屋よ。ローズさんや私は上だから一人部屋だけど、そこしっかりと覚えてなさいね」
と少し気に入らないのか、そう話す。
可愛い顔が少し崩れている...。
「かしこまりました。」
「あとは...クローゼットに服があるし、必要最低限の物は用意したけど何かあったら言って。それと、これから朝の訓練するから早速着替えて!」
「はい!」
急いで着替えると、
「遅い...」
とキャプセラさんが、壁に寄りかかって腕を組んでブッスーと頬を膨らませていた。
すみません...w
広場に戻り、騎士団の皆さんに挨拶をする。
「初めまして、サラと申します。本日からロチュス様の従者を学びながら、こちらでの訓練に参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。」
挨拶を済ませると、準備体操をし柔軟・ランニングを行う。
もう...息が切れる。
「...みっともないわね。もっとしっかりしなさいよ!これならお嬢様が不憫だわ」
とキャプセラさんの辛口が...。
「はい、頑張ります」
『はっ!やぁっ!』
今度は剣ほどの長さの棒を持ち、構えて振る。
上から下に、左から右に…
「もっと腰に力を入れて!重心は低く!素早く反応して!」
とキャプセラさんが声を張り上げて、皆に伝える。
私は皆さんの見よう見まねをしながら、必死に付いていく。
「サラ!足をもっと肩幅に広げて少し下げて。」
「はいっ!」
「次は、突きの練習!」
『はっ!!』
ーー
ーー
朝の訓練が終わり、お昼の時間。
案内してくれた食堂は、お城の食堂よりも人が多く賑わっている。
カウンターに並び次々に料理をもらって6人掛けのテーブルにそれぞれついて食べている。
私も料理をもらって、どこが開いているか見渡す...。
「よろしければ、ここどうぞ」
と年上そうな黒髪長いの女性が声を掛けてくれた。
「ありがとうございます」
5人組のところにお邪魔する...。
「失礼します。」
「どうぞどうぞ!」
黒のロングヘヤーの女性のほかに、クリーム色のセミロング、オレンジ色のボブや水色のロング、
薄ピンク色のショートカットの女性が席について食事していた。
「サラさんでしたっけ?私は、ミネですよろしくお願いします」
と先ほど誘ってくれた黒髪の女性ミネさんが話す。
「私は、フラン」とクリーム色の方。
「フィーネです」とオレンジ色の方。
「ロゼです」と水色の方。
「パルファンですぅ」と薄ピンク色の方。
「こちらこそよろしくお願いします」
一通り挨拶が終わり、お話ししながら食事をする。
今日の訓練のことやここの人のこと、町のニュースやお城のこと...
話題がたくさんだ。
お昼休憩が終わり、午後の訓練では、柔軟と陣形。
陣形は中に入らず、見学をさせてもらった。
「いい?一人倒れても崩れないで!自分の役割が何なのか、しっかりと意識して!」
キャプセラさんは、フォーメーションを見回りながら声を掛けていく。
「ヒーラーは絶対に守って!中衛!!それじゃあスキを突かれるよ!」
「...騎士団初日はどお?」
とスッと隣に来たローズさんが訪ねてきた。
「お疲れ様です。はい、すごいですね、私ももっと頑張ります」
「...そう、ね。...そういえば、魔法は出たことが無いんだっけ?」
「...はい、まだです。」
「ん~、ならこの後の個人練習でオラージュから教えてもらうといいわ。」
「オラージュさん、ですね?」
「ええ...、オラージュさん!ちょっといいかしら?」
ローズさんから声をかけられ、反応した薄い深緑のふわふわした子が駆け寄る。
「はい!何でございましょう?」
「急で申し訳ないけれどね?時間のある時で構わないんだけど、これからサラさんに風の魔法の出し方を教えてあげてほしいの。」
「私でよろしければ!」
「あなたは一番バランスが良いし、適任だと思うわでは、よろしくね」
フワッとローズさんが微笑んで、陣形のところに向かっていった。
「ありがとうございます!...サラさん、オラージュと申します、よろしくお願いしますね。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします!」
個人練習の時間になり、早速オラージュさんに教えてもらうことに。
「まず、基本的な風を出す見本を見せますね」
とオラージュさんが右手を前に出すと、目の前の地面にどこからか風が集まりすぐさま上に吹き上がった。
「おお...」
思わず声にでる。
「風を出そうとせずに、周りにある風に助けてもらう感覚でやってみてください。」
「出そうとせずに...ですか。」
「私の考えですが...水や火は、想像というか自分の感覚を思い出して自分から出すような感じなんです。
風は少し違って、周りにある風の力を借りてるような感覚なんです。」
「なるほど...」
周りの風の力を借りる...か。
右手を前に出して、周りの風を呼ぶように念じてみる...。
さすがに初めてでは。
フワッ...。
微かに風が目の前を通り過ぎていく...。
「あっ少し出ましたね!」
「えっ?出ました?」
「はい、ほんのちょっとですけど。これからもっと練習したらちゃんとできると思います。」
「ほぉ...!嬉しいです」
おおおお!!やったぁ!頑張ろうっと!
「ちなみに...」
オラージュさんが言いながら少し両手を開くとオラージュさんの体の周りに風がまとって、
体が浮き、勢いよく下から上に吹き上がり一回転してシュタッと舞い降りた...!
カッコいい!かっこよすぎる!
「...こんなことができるようになると思いますよ。」
「...はい!頑張ります」
そんなこんなでいつの間にか日は暮れ...
夕食を頂きお風呂に入り、自室に一人になる。
時刻は20時...
はぁ~、今日は久々に色んなことをして色んなものを見たな。
前のような寝込むことがないように早めに寝るとするか...。
そういえば...とクローゼットにしまった朝履いていたズボンにポケットに手を入れて、
レファンさんから頂いた紙を開く...。
2日おきに従者の仕事をするような流れになっていた。
騎士練習は終わるのが早いから助かるな...。
訓練して魔法の練習をして、従者の仕事も覚えて...と。
沢山やることあるけど、頑張るしかない!
続く...