続き


「…終わりましたよ、ロチュス様お似合いです。」
首元の細く黒いリボンを結び、膝を当ててしゃがんでいた体勢から、立ち上がる。

「ありがとうございます、サラ。とっても良いわ。」
ロチュス様は嬉しそうに体を左右に捻り、ワンピースをヒラヒラさせている。


時刻は8時


「それにしても、今日は早いのね。いつもは30分まで掛かるのに」
と、レファンさんの方を向きながら話す。


「本日は朝食はお作りしておりませんので。さらに、いつもは布団の中でくすぶる時間が長いですからね。本日からサラさんがいらっしゃいますから、早くお目覚めになられると私としても嬉しいのですが…。」

パタン…と手帳を閉じながら言う。


「もう…!朝は弱いのよぉ〜。」
と少し頰を膨らませて両腕を前に組み、レファンさんを睨む…。


「そうですね。では、本日のお勉強の予習をなさってはいかがでしょう?私はこれからサラさんと一緒にワゴンの片付けに行きますので…。」


「え〜っ⁉︎もう…分かったわよ。」
頰をさらに膨らませながら、机の所へ行き椅子に座った。


「ロチュス様、すぐに戻ります。それではサラさん、行きましょうか。」
ワゴンを押しながら傍に来てニコリと笑う。


「はい。ロチュス様、少しの時間ですが失礼いたします。」
お辞儀をして、レファンさんと一緒に部屋を出て行く。


カラカラカラ…とワゴンの車輪の音を聞きながら歩く。

「それにしても、本当に今日のロチュス様のお目覚めは早かったです。いつもはもっと掛かるのですよ?『あと5分…』が3回も続くのですから…。」


「そうなのですね。でも寝たい気持ち分かります、特に冬なんて布団から出たく無くなりますし。」


「サラさんの国は北にあるのですか?」
レファンさんがスッと突き当たりの壁に触れる。

「北と言いますか…。まぁ、真ん中よりは少し北です、春夏秋冬なのでバランスの良い国ですね。」


「えっ⁉︎それは、どういう事でしょうか…。この国は暖かいだけですので。その場所に居ながら、暖かいも暑いも寒いもあるのですか?」


「はい、大体は。私の国にも北の方と南の方がありまして、そこの土地は北でしたら暑い時期は涼しく、南でしたら寒い時期は暖かいことがあります。」


「始めて聞きました。極端な気温差がここでは通常でしたので…。面白いですね…。」
ふむふむ…と感心したようで少し頷く。


それにしても…季節があまり変わらない所なんだ。慣れてしまえば服も変わらないし、季節の変わり目で体調を崩さないから楽だけど…。


ここは暖かいようで、良かった。
他の国も行ってみたいな。


なんやかんや話していると、2階の廊下のキッチンに着いていた。