アジア圏での就職が決まり、現地の言語はイマイチなまま40歳になる前に外国に移り住んだ。

 

 

昔からそういう無謀で向こう見ずなところがあると自覚はあった。ただ、距離的に渡航時間が5時間以上のところには行けない。そうなると、必然的にアジア圏になる。

 

 

親兄弟に何かあった時に、パッとチケットを取ってすぐ帰国できるというのがいい。数時間なので、すぐでもないが。

 

 

人は情熱的で、街にパワーがあって、食べ物も美味しいし、いざとなれば日本食を作ろうと思えば近い食材が調達できる。日本は好きだが、ホームシックになる理由もない。

 

 

仕事はそんなに難しいものではなかったが、なんせ文化が違う。プライドの高い現地スタッフとのコミュニケーションが難しくも興味深かった。

 

 

現地で働き始めて数ヶ月も経つと、出国前の数々の不調はほとんど気にならなくなっていた。多忙は多忙でも、ワクワクする忙しさだったからかもしれない。あとは、彼と物理的に距離を置けたからというのもあったように思う。

 

 

現地に移り住んで1年ちょっとが経った頃、年1回の健康診断で数値に変化があった。まず、3キロ太った。不健康ではあるが、ちょっとびっくりした。太れるんだ、と正直思った。加齢だったかもしれないが。

 

 

それともう一つ。基礎体温が上がっていた。35度前半だった体温が36度前半まで上がっていた。低体温は万病の元だと聞いていたので、これは嬉しかった。現地の食事をしょっちゅう口にしていたからであろうか。さすが医食同源と思った。

 

 

住んでいたマンションの構造がちゃちいのと、基本音や匂いを気にしない国民性のせいで静かな居住環境とは言いづらかったし、お風呂好きとしては浴槽がとても小さいのは辛かったが、体調不良がないというのは何より快適だった。

 

 

移住してよかったと思った。理由を作った彼に感謝すらした。前職場の近くの占い師には、方角と年が悪いので行けば一生物の病気になる、だが出会いもあると言われたが、決断してよかったと思った。

 

 

基本、移動や引っ越しが好きだったので、元来海外で生活するのは向いていたのかもしれない。海外生活も3年が経とうとしていた。