楳図かずおの話 | ラDONの趣味趣味日記

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ファニーバンド、銚子ソニアブラス、Fat Bellsでユーフォニアムを担当&ゴー!ゴー!ナイアガラ楽團を主宰しているラDONといいます。
趣味の話とラーメンの話だけを書いています(^_^)v

今日は小学生の頃に夢中になり、未だに一番好きな漫画家である、
楳図かずおさんのお話を、代表作の「漂流教室」を中心に書きます。

楳図かずおさんとの出逢いは、確か小6の頃、「少年サンデー」に
連載されていた「漂流教室」という漫画からだったと思います。
それまで、コレといって面白い漫画を読んだ事は全くありませんでした。
でも読むには読んでいたんですよ。なんたって子供でしたから。
だけどそれは主に、小学館の学習雑誌とか、「仮面ライダー」目的で
買っていた「テレビマガジン」に連載されていた、子供向けの漫画です。
だから「漫画」というジャンルを好きになった事は、なかったんです。

何故ならテレビでやっている漫画(アニメ)の方が面白かったからです。
カラーだし、動くし、喋るし。それに眺めていればいいから、楽だし。
テレビで漫画やってたら、特別好きな番組じゃなくても、見るでしょ?
子供だから。少なくても私たち兄妹はそうでした。だから持っていた
コミックといえば「ウルトラマン」と「仮面ライダー」くらいでした。

小5になると、フィンガー5やあのねのねと出逢ってしまったので、
ますます漫画は読まなくなっていったのですが、小6になる少し前、
それまで「ウルトラマンだ!仮面ライダーだ!」と言っていた友達が、
どういうワケかみんなして、「漂流教室!」と言い出したんです。
私は「少年サンデー」とか「少年マガジン」とか、そういう雑誌を、
全く読んでいなかったので、それが何の事か分かりませんでした。
そんなお金があったら、レコードや「平凡」「明星」を買っていたし、
最初は「恐竜教室」だと聞き間違えていたくらいでした。

でも、それまで仲の良かった友達が、みんなして面白いと言うので、
段々気になってきて、ある時本屋で立ち読みをしてみました。
そうしたら・・・読んでみたら面白かったんですよ!
まず絵が凄い!しかも怖い!登場人物が全員オドロオドロしかったし、
背景とかの描写も、とっても細かい所にまで気を配っていて、
それでいてスケールがデカく、映画みたいな迫力がありました。
それまでは「いなかっぺ大将」とか「オバケのQ太郎」とか、
そういう絵を漫画だと思っていたので、カルチャー・ショックでした。

でも連載はどんどん進んでいたし、最初の方を読んでいなかったので、
立ち読みだけでは話に付いていけません。でも読みたい!それで私は、
単行本になるまで待つ事にしました。毎週買うにはお金もなかったし。
そしてしばらくして、待ちに待った単行本の1巻と2巻が、
同時に発売されました。もう即行で買いましたね。
それからはもう、「漂流教室」にドップリとハマりました。

突然消えた小学校と子供達。でも子供達から見たら、消えたのは世界。
見渡す限り砂漠だけしかない、不毛な未来に置き去りにされた子供達。
現実を受け入れられず、次第に自滅して行く先生や大人達。
生き残る為に友達を殺す子供達。スモッグに覆われて、曇った空。
そんな中で食料を独り占めする、給食屋のおじさん、関谷の恐怖。
迫って来る怪虫やペストの恐怖。そして未来の人類だという生物。
生徒間の選挙で総理大臣を決めたり、生徒間で派閥が発生したりと、
あまりにも非現実的な世界が、これでもか!と繰り広げられます。
そして読んでいる私も、どんどん引き摺り込まれて行くのです。

単行本化されたのが遅かった分、発売されるペースが早かったので、
最終巻までは早かったように記憶しています。
そうなると私はどうなるか?毎回読んでくださっている方は、簡単に
想像が付くと思いますが、私にはコレクターの血が流れているので、
次から次へと「楳図かずおの漫画本」を買い揃え、読みあさりました。
口が耳までさける時、へび少女、人こぶ少女、おろち、アゲイン、
イアラ、洗礼、ねがい、あと単行本でいうと「恐怖」とか「怪」。
とにかく一心不乱に読みましたね~。そうそう、
何と「ウルトラマン」も描いていたんですよね~(つながるな~)

そして「漂流教室」が完結した頃だと思うんですが、楳図かずおが、
驚いた事に音楽のアルバムを発表し、レコード・デビューしました。
元々音楽が大好きだったので、本当にビックリしたし喜びました。
そのアルバム「闇のアルバム」には「洗礼」「イアラ」「へび少女」
「おろち」「漂流教室」といった、楳図かずおの代表作と、
同じタイトルの曲が10曲も収録されており、歌だけでなく、
全曲の作詞・作曲も手掛けていました。多才なんですね~。そして、
ここでも絶対に手を抜かない、楳図かずおの人柄も溢れていました。

人柄と言えば、その後偶然楳図かずお本人と接する機会がありました。
高3の時ですが、当時私が天馬ルミ子引退後に、親衛隊をしていた
某アイドル歌手が、文化放送のレギュラー出演が決まったんです。
その番組のパーソナリティーが何と!楳図かずおだったのです。
高3でしたが、会報作りやボイトレの為、その歌手の所属事務所に、
頻繁に出入りしていた私は、もう半分スタッフ状態(自称)で、
毎週金曜日の夕方、四谷にあった文化放送に通っていたんです。
マネージャーとか誰もいないんですよ!2人だけなんです。
だから毎週その楳図かずおの番組を、横のブース内で、
生で「観ていた」んですよね。信じられないでしょ?でも本当です。

当然、楳図かずおさんともお話をさせていただく機会もあり、
その時私は「闇のアルバム」のLPを持って行き、サインを頂きました。
単なるガキの私にも、とっても丁寧に接していただき、また、
気さくにお話して下さったのは、楳図かずおさんの人柄によりますね。

ラDON。の趣味趣味日記-楳図かずお

では・・・私はソレが切っ掛けで、漫画を好きになったのかと言うと、
やっぱりそうではないんです。好きになったのは楳図かずおだけ!
楳図かずお以外で、我が家にある漫画本は、「生徒諸君!」「タッチ」
そして「NANA」だけで、あとは西村京太郎の小説がド~ンとあります。
頑固なんですかね~?それともやっぱり私には、漫画が向いていない?

楳図かずおは現在、95年に完結した「14歳」を最後に休筆中です。
その原因は、長年の執筆による腱鞘炎が悪化した事と、
小学館との関係が、悪化した事が原因だと言われています。
「14歳」を連載していた時、新任編集者がゲンコツを描いた紙を
持って来て「手はこう描くんですよ」と言われた、という事件です。
「おろち」以降の作品は、殆ど小学館の雑誌で発表していましたので、
楳図かずおにとっては、かなり屈辱的な事件だったのだと思います。

ですが、「巨人の星」の漫画をアシスタントに見せ、
「コレのどこが面白いのか教えてくれ」と言った事のある手塚治虫に、
「おい、天才が現れたぞ!」と言わせた楳図かずおですよ!
このまま執筆活動を終わらせて欲しくありません。楳図かずおの新作を、
私は死ぬまでにもう1度読んでみたいと、心から思っています。

またここ最近は、通称「まことちゃんハウス」を巡って、
ご近所さんとゴタゴタしていたようですが、
自分自身の夢を実現させたかっただけなのに、
ソレの何がいけなかったんでしょうかね~。
私も死ぬまでに一度は見学しに行ってみようって思いますけど、
この時期の楳図かずおさんの元気な姿が、
テレビを通して見れた事だけはうれしかったですね~(笑)

楳図かずおの完全復帰を願いながら、今回はこの辺で。バイバイ!

 (mixiへのオリジナル掲載日:2007年07月15日)