「お葉というモデルがいた
 夢二、晴雨、武二が描いた女」
 金森敦子著 晶文社 1996

現在も美術大学や民間のアトリエで広く行われている裸体デッサンの原点とも言えるモデルがお葉である。夢二、晴雨、武二というおよそ接点がないように見える三人の画家とそれぞれ深く関わり、それぞれの画家の決定的なところと絡むという奇跡的な振る舞いをした美術モデル。
そして今なお絵を描く人々が裸体を飽きもせず、同じ様式で描き続けてきている奇妙さは何か。今の美術界の片隅に明治が潜んでいないか?
そういう視点で裸婦と美術モデルの歴史を今一度辿ってみようと思い、書棚から引っ張り出して来た。