10月26日(月)
サッカーの話題ではこの前書いたところなのだが、今日もどうやらサッカーがいちばんのホットトピックのようだ。それくらい、昨晩に観たリバプール―マンチェスターユナイテッドのゲームが強烈に印象に残っている。
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といっても丸々一試合を観たわけではなく、実際に観戦したのは75分くらいから。つまりゲームの5/6が経過してからである。だけどサッカーのおもしろい要素がたっぷり詰まった時間こそがそこであり(対戦カードが世界最高峰の二チーム、丸々一試合観たとしても退屈な時間帯など皆無だったのだろうが)、髪にドライヤーをかけるのも忘れて残り15分+アディショナルタイムに夢中になった。そう、お風呂に入っていて試合の存在をすっかり忘れていたのだ。
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試合そのものがおもしろかったのは言うまでもない。夕べボクがたのしんだのは実況と解説だ。実況はその理知的なスタイルが好もしい倉敷さん、そして解説が日本サッカー界のキング・カズのお兄さんとして有名な三浦泰年さんだった。実はボクは三浦泰年さんの解説がどうにも苦手だった。自分とは比べようもないほどサッカーのことを知っている彼にダメ出しをすることはおろか、明確なダメも思いつかない。だからまちがっても解説者としての三浦さんに疑問符をつけるようなまねはしてはいけないわけで、つまりこれは好みかそうでないかの問題だ。そういう意味においてボクは三浦さんの解説を苦手としていたのだけど、その考えは夕べの試合で改めなくてはならないと感じた。
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ただでさえ質の高い選手を多く擁する両チーム、とりわけ1-0とリバプールのリードで試合が終盤を迎えると、ユナイテッドは同点に追いつこうと、そして試合をひっくり返そうと王者の牙を剥き出しにリバプール・ゴールに襲いかかる。それゆえ生まれる一瞬のほつれを突いてさらに点差を広げようとボールをはね返しながら虎視眈々とカウンターを狙うリバプール。それは前述のようにボクからドライヤーの意識を消し去るほどの見どころに満ちた展開だった。サッカーが好きな者ならば、もう他のことなど手につかない展開。ならばよりサッカーに情熱を注ぐ実況・解説の件のお二人ともなれば夢中度はひとしおで、実況と解説の隙間、ちょっとのアウトプレーの間にあることないこと冗談を言い合って笑っているという、見えはしないが彼らはきっと、子どものような目をしていたことだろう。
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おそらく夕べの試合を観戦していたサッカーファンで、彼らに対して「最後までまじめに実況・解説をしろ」と怒る人などいないことだろう。まずその理由のひとつに、もはや実況・解説など不必要なゲーム終盤だったということが挙げられる。そしてふたつめが、彼らの飛ばす冗談や言い回しが非常にユーモアやウィットに富んだもので、観ている側(少なくともボクは)はたまらずくすっと笑ってしまっただろうというものがある。これはいついかなるときでも笑えるようなものではおそらくなく、その瞬間を共有し同様に興奮している者に特におかしく思えるものだと考察する。キャラガーがオーウェンを倒して提示されたイエローカードに対して、ヴィディッチがキャラガーに詰め寄り何か言っているシーンで「今のはレッドカードだったぜ」や「下手くそなディフェンスだな」と勝手にせりふをつけはじめ、最終的に「おれだったら審判にレッドを出されていただろうぜ」に勝手に落ち着かせ、その直後にヴィディッチが二枚目のイエローカードで退場した展開などは、それこそ筋書きが用意されていたみたいで大いに笑った(ちなみにヴィディッチは最近の出場試合では三試合連続で退場している)。
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試合は残り数秒というところで、前がかりになったユナイテッドの隙をついてリバプールがカウンターから勝負を決定づける二点目を決め万事休す。最後までドリブルで持ち込んで決めたゴールにも関わらず、得点したヌゴクを真っ先に祝福したのがゴールキーパーのレイナだったのがまた驚かされ笑わせてくれた。後に聞けばゴールが決まる前からすでに管轄を離れ駆け出していたそう。まったく、いとおしすぎる。
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一晩経ってもまだ少し、思い出せば興奮が再燃する状態だ。どんどんサッカーが好きになっている。ならばどうして、すっかり忘れて「湯船浸かり」になどなれるのか、自分よ!