5月1日(金)
待ちに待った1日だ。そう、月初めの1日は映画の日。そんなに大それたことでもないけれど、無理やり大それさせればたのしくもなるもの。そんな今日は先月の誓いの通り、朝から映画館に足を運んだ。しかしこれは一ヶ月ぶりの映画ではなく、実は前日も同じ映画館に違う映画を観に来ていたのだ。だから、12時間空かずに再び同じ場所にボクは立っていたということになる。よく分からないが何だか威張りたくなる。
今日観た映画は、「1000円で観られるのなら……」という不純な動機のものでなく、純粋に観たくて気になっていた映画だった。だから、お得な料金ということもあり自然と勝手に期待値は上がってしまっていたのだろう、観賞後の感想は「まぁまぁ、かな」という、悪くはないが決して最高というわけでもないというものに落ち着いた。展開が、自分の予想を超えきれてくれなかったのだ。少し残念な感想だったことは否めない。どうしても比べてしまったのかもしれない。昨日観た映画の満足度と。
昨日観た映画は、それはもう素晴らしかった。あんなに2時間の間にハラハラとワクワクと興奮と悲しみと、そして爽快感などあらゆる感情が同居した映画はなかなかない。それに加えて、正直言ってもともとあまり期待はしていなかっただけに、見事に自分の心を掴んだあかつきには、その衝撃たるや何ポイントも加算が止まらない。
そんな衝撃的な観後感が鮮明に残っているのだから、ちょっとやそっとの良い映画程度では、満足な感想を得ることは難しい。もしかしたら、順番が違ったりもっと間隔を空けて観たりしていれば、今日観た映画はあれほどの損な評価をされずに済んだかもしれない。そもそもジャンルが全然ちがうのだけれど、前日の映画の方が、今日のよりも自分的には良かったというのは間違いないが、今日のは決して敗者ではない。場面場面はとても素晴らしいところがあった。絶妙なかけあいで淡々と我々を笑わせる手法はそれは見事で、いつものやきもちを焼いてしまったもの。ただ、戦う相手、そして時期が悪かっただけだ。
確実に言えることはなんだろうか。それは、「少しずつでも慣れてくる」ということ。慣れが生じる前と後では、驚きや興奮、感じる新鮮さが全然違う。映画館という異空間もまた頻繁に出入りするわけではなく、かつては行く度毎にそこに新鮮味があった。しかし、水面下では確実に自分の中ではその空間に対して慣れが生まれていた。二日続けて行ったことでそれは実感できた。そのため、これまでは不慣れな場所だから絶えず緊張状態を保っていたものの、前日も同じ場所に座っていたとなると、そこはもうアウェイではなく、ホーム。完全にリラックスし、居心地の良さにあやうく眠ってしまいそうになった瞬間があった。くどいようだが、映画がつまらなかったからではない。それほど心許しても大丈夫と思える空間になっていたのだ。それに、昔に比べてある程度の本数は見ているために、自分なりに映画を評価するような余裕の目も培った。その目が前日の超大作でびんびんに見開いた状態で今日の映画も観たという、そんな悪条件が重なった故の少し残念な感想という具合だ。
円満に話をまとめようとするわけではないが、やはり映画は素晴らしい。たくさんの人がたくさんお金と時間をかけて製作したものだ。ひとつの見方に固執しなかったら、たのしめない映画などないと思う。もっともっとたくさん劇場で観たい。だから全国の劇場さんお願いします、毎週とは言わないまでも、月に一度か二度くらいは、「ジェントルマン・デー」を設けてください。どうか上層部にかけあってください。これまで何度か会議したこともあることとは存じますが、今一度、よろしくお願いします。