As Tears Go By ~涙あふれて~ -10ページ目

そして、LADIES & GENTLEMEN

静かな日々でも、この方達は休ませてくれません。
そう、ついに公式発売されたSTONES、1972年のピチピチLIVE映像
「LADIES & GENTLEMEN」

絶頂期の映像といわれながらも、これまで一切オフィシャル化されることがなかった幻映像の解禁です。
事前に武道館でのイベントや、期間限定で一般映画館でも上映したので、フアンの間ではずっと盛り上がっておりましたが、ついに広くご家庭に。

これほどのものが何故今までお蔵入りしていたのか、前にブログ上でいろいろ熱く考えましたが、
特典映像に入っていたMICKのインタビューで「よくわからないけど、前の所有者が使わずじまいで、
買い取って修復した」と権利関係上のようなことが語られており、なんじゃらほい、
という感じ。
権利といえば、STONESは、これまで「したたかな大人」にいっぱいしゃぶられており、それから自立してスタートを切り、走り出して間もない時期がこの頃。「権利」に対しては結構ナーバスだったんじゃないかと思いながらも、まだ前の関係のギクシャクが影を引きずっていたり、まだ自分達ではどうにもならないようなことたくさんあったんだろうと、またまた勝手な想像を。

まぁ何にせよ、この度晴れて世に出たのだから、あれこれ考えずシンプルに楽しみます。

17日の定休日を利用して、ディスプレイを少し「L & G」モードに変えます。

$As Tears Go By ~涙あふれて~
タワレコ限定特典は3Dスリップケース(写真ではわかりにくいですが)

静かな1週間でした。

10月は、3連休を境に静かな日々が続いています。

10日にはSOLOMON BURKE(ソロモン・バーク)が急逝されました。

氏は、STONESとも深い交流のあるソウル界の帝王です。
お互いに尊敬しあっている様子を、様々なメディアを通して感じとることができました。

5月には奇跡の初来日を果たし、当店の常連さんO君も参戦。
終演後、帰りに寄ってくれて、ステージに上がった話や、その時にもらってきたバラをプレゼントしてくれました。

静かな時間に、氏を偲び、アルバム「MAKE DO WITH WHAT YOU GOT」を。
この中ではSTONESの「I GOT THE BLUES」をカヴァーしています。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

As Tears Go By ~涙あふれて~
O君がステージからもらって来たバラや、Tシャツ、共演したCOREY HARRISのアルバム。
ソロモンと楽しい時間を共有できてよかったね!

9月は濃かった! その3 当ブログ史上、最もアツくるしい日記

えー、ただいまより語ります。

少々長く、熱いので、うざく感じるかもしれません。
特にSTONESそんなに好きでないし知らない方は、すでに読む気がないかもしれませんが、
これは人生をいかに生きるか、というサンプルのお話でございます。
いろんなことに共通し、置き換えて考えることもできます。
できるだけわかりやすく書きますので、お時間あればおつきあいください。



武道館 1972年のSTONES

■「絶頂期」を感じに

今回日帰りで東京まで足を運んだのは、「絶頂期」と言われる72年当時のSTONESを、武道館上映という疑似LIVE空間を借りて、できる限りリアルに感じたかったからだ。
残念ながらLIVEのように席を立てなかったのであるが、精一杯身体を動かし、本物のLIVEと思い込んで感情移入することで、72年当時小学生でリアルにSTONESを体感していない自分に、72年からずっと後にフアンになった自分に「これが絶頂期なのか」ということを問いかけながら鑑賞した。
スクリーンの中のMICKは、今から38年前、当時28、9歳のピチピチした姿だ。
MICKだけではなく、BAND全体が集合体として勢いに溢れ、音楽が疾走する様子は、危うさとまばゆさがキラキラ輝いて、そのスピード感に心地よくのまれた。これが「若さ」というものなのか。
これほどの作品をなぜ今までお蔵入りさせ、いわゆるブートレグの世界にのみ埋もれさせていたのだろうか?
ずっと考えていたことの答えを自分なりに探してみた。

■なぜ今まで世に出さなかったのか

フアンの間では周知のことであるが、この映像は72年北米ツアーから2公演のライブ映像を編集したもので、74年に劇場公開の予定であった。
当時最新の音響システムでの上映を前提に制作されていたものの、そのシステムに対応できる映画館が少なく、プレミア上映のみでお蔵入りになったという。
(いつも先駆者的なSTONES、少々先に行き過ぎたか!)
当時はまだアメリカといえども家庭用ビデオなど普及していなかったであろうし、現在のように映像ソフトが売られ簡単に入手できる時代ではなかった。そのことに加えこの72年以降STONESは73,75、76、78と、短いインターバルでツアーを行っており、以後のツアーのLIVE盤などがリリースされたり、一度ケチが付いてからは公にするタイミングを失ってしまったのではないかと思う。またちょうどビデオが普及し始めた頃は、パンクやディスコ隆盛で、「STONES? ジジイ(まだ30代だ)は、引っ込め!」と攻撃を受け、そんなおりにこの映像を出すことは、なんだか少々間抜けな感じで、それよりも彼らはSTONES流のパンクやディスコで応酬し、「今の姿」をもって外野の騒音を黙らせた。
また80年代は、81、82年以降89年までツアーは行われずSTONES自身不安定な時代であった。混沌とする中でも、BANDとしての「今」とその行く道を探っていたのではないかと思う。その悶々としたフラストレーションが積もって後半ではMICKとKEITHの確執、解散の危機に至った。もがきながらも「続けること」を試みていた限り、不安定な状況下では「絶頂期」の映像を公にするタイミングはこの10年の間にもなかったのであろう。

■最高を探すBANDに、最高のタイミング?。

MICKはこれまでアーカイブ物には興味を示さなかったと言う。STONESは常に「今」を大切にし、それと「ビジネス」を上手くリンクさせて生きながらえてきた。
90年以降の安定感、特に2000年を越えてからは自分達の行く道を定めたBANDは迷いなく道を転がり続けているように見え、その都度進化する姿を我々に見せてくれている。
しかしBANDとして過去の「絶頂期」があったことは、MICK自身も感じているであろう。
だからこそ、一度公開のタイミングを失い、後に「絶頂期」と呼ばれるようになったこの映像を初めてオフィシャルで出す「次のタイミング」というのは、ビジネスを含め、現役であり続けるSTONESにとって重要なポイントではなかっただろうか。
今年展開されたアルバム「メイン・ストリートのならず者」発掘プロジェクトは、再発ながらUK1位を獲得するなど、商業的にも成功しているように見える。
次から次へと発売される高価なBOXセットやグッズ類には少々辟易したが、その流れに乗ってこの蔵出し映像を発売することは、ビジネス的にも最高のタイミングであろう。
と同時にブートレグという世界でコアなフアンの間でのみ知られていたこの映像を公にすることで、「現在進行形」であるSTONESは、最大の難敵に立ち向かわなくてはならなくなった。1972年のROLLING STONESだ。
武道館で見た72年映像のSTONESはスゴかった!!映像なのにスゴかった!
これを絶頂期というなら、そうかもしれない!
フアンになってから常に「今のSTONES」を追うことが多かったから、こんなに真剣に72年のSTONESを振り返り浸ったことはない。
このリリースを機に改めて感じた、この時代のSTONESはカッコよすぎだ。

と同時に確信した。

MICKは勝負する気だ!

「今」のバンドにはないもの(TAYLOR?)、若さとか容姿とか、もう取り戻せないもの、表面的なことも含め、自分達の今とある意味「対極」にいるもの。
しかし、それは全て今の自分達を作ってきたものの「一片」に過ぎない。

様々な外圧や困難、批判をも飲み込んで生き抜いてきた。
50年近く「地球規模」で指示を集めるという奇跡のバンドだ。
立ち向かうものがあればあるほど、したたかに飲み込んでサヴァイブしてきた。
そのBANDが最高のSTONESを見つけるために立ち向かわなくてはならないものは、
もうそれは自分達の「絶頂期」と呼ばれるものだけなのかもしれない。
一連の「メイン・ストリートのならず者」再発発掘企画最終章として、今この映像をオフィシャル化することは、商業的にも、またこれから腰を上げるであろうBANDを鼓舞するためにも、一石二鳥の最高のタイミングだったのではないだろうか。

何年か前のインタビューで、自分達は、最高のROLLING STONESを探してBANDという1台のバスに乗っているようなものだ、みたいなことを確かKEITHが言っていた。
もう誰もバスから降りない、見届けなければ損だ、と。

近い将来、BANDは50周年を迎える。
ただ同時にBANDとして残り時間が少ないことも、受け入れなければならない。

最高のSTONESとは?
絶頂とはなんだ?

残り少ない時間の中、MICKはBANDにもフアンにも劇薬注射を打った!
それがこの「Ladies & Gentlemen」のオフィシャル化だ。

この映像当時はまだメンバーではなく、一連の企画からひとり蚊帳の外だった現メンバーのRONNIEもいいソロアルバムを作った。RONNIEにもいい刺激のはずだ。
「今」のSTONEはTEYLORではなく俺だと、胸を張ってほしい。

次にSTONESがステージに立つ時、きっとスゴいものを目撃するだろう!
KEITHは「STONESにとって成功とは?」という問いに「続けられること」と答えた。
若さや危うさなどキラキラした魅力はないであろうが、それを経て
その上で今の自分達が「本当の絶頂」に向かって「続けること」の意義を示すだろう。

そしてしっかり稼ぐのだ!
がっぽり儲けるが、背負うものは背負い、やることはやる。
これは正しくカッコイイ生き方であると思う。

備えよ!
MICK社長の指示が聞こえた。