タクシー数(その7)
タクシー数(その6) の続きです。前回の結論は、2通りに2次体整数の6乗数の和としてあらわされる数を求めるには、
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とおくとき、①から③が成り立てば十分であった(ただし、これは必要条件ではない)。
①
が等しくなる整数の組(s,t)を求める。
今、tがsの2次式(sの2次の項の係数は1)であらわされると想定する。
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に対しては、
とおくとき、t(26)=121, t(38)=1 となるb,cを求めると
となる。つまり、
である。
そこで、tをさらに限定して
(ここでkは整数)で表わせるとして
なる組を求める。
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であるので、
を整理すると
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左辺をs-s’で割り、sの2次式として整理すると
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この2次方程式が整数解を持たなければならないので判別式が自然数(D)の平方となる。つまり
よって
とおくと
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さらに
とおくと
である。そこで、こうなる整数の組
で
が13で割り切れるものを求めと、
かつ
が13で割り切れ、かつ 偶奇が一致する (*)
整数の組(m,n)となる (最後の条件はkが整数であることから)。
(*)は、m≡5nまたは7n (mod13) かつ m≡n(mod2)となる。
これは、m≡5nまたは7n (mod26) と同値である。
したがって、m=5n+26l または 7n+26l である。
これら2つのケースに分けて、m、k, s', s,tを求めると以下のとおり。

② 2次方程式を解いて、(s,t) から (x,y) を求める。
なるx,yは、
及び
の解として求められる。すなわち
は
及び
③ x,yが2次体整数の平方であらわされるかどうか確かめる。
一般に、整数ではない2次体の整数wについて、
となるためには
となることが必要十分。これを上記x,yに適用すると
が平方数でなければ
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となるU,Vが存在することが必要十分。
は2次方程式
の解であるので

これをm≡5n(mod26) と m≡7n(mod26)の場合に分けてn,lで表示すると次表のとおりである。

次にUが自然数になる条件を求める。
のとき
A.
が自然数の平方になる場合を求める。
として、
の有理数解x,yを求めればよい。変形すると
さらに変形すると![]()
とおくと、これは
の整数解を求めることに帰着する。
この整数解(の一部)は、M,Nを整数として符号を除き、
となるので
よって、
または
を得る。
とおくと
または
である。
ここで、
または
が自然数の平方となる場合を求める。
今、
が自然数の平方とすると、
より
が有理数の平方となる場合を求めればよい。
の場合を考えると、これは
が有理数の平方、つまり楕円曲線
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の有理点の
を求めることに帰着する。このペアを整数とし絶対値が小さい場合を調べると、
はこの楕円曲線上の有理点(整数点)である。
のとき、
したがって、
としてよい。
この時、

よって、![]()
また、![]()
よって、![]()
以上より、
を得る。
また、
のとき、
したがって、
としてよい。上と同様の計算で、
を得る。
上記楕円曲線が、上の2点以外の有理点を持てば、それに応じて、6乗数の和(片方は√がつく)で2通りに表される数が得られる。
長くなったので、
が平方となる場合や
B.
が自然数の平方になる場合は、別の機会とする。
結局、

という3乗数の和で二通り表わされるもののうち、3乗数が6乗数でもあるペアを求めていたことになる。