お世話になっている次世代基盤政策研究所で、みんな大好き財政再建・均衡をテーマとしたシンポジウムを開催します。21年6月26日土曜14時から、オンラインで。

 同じく分科会でお世話になっている経済学者の小林慶一郎先生、元日銀・前リコー研究所所長の神津多可思先生、日本総研の翁百合先生に、座長は森田朗先生ということで、実に際どいセッションになるようで楽しみにしておるところです。

第6回NFIシンポジウム「財政バランスの長期的持続性をどう考えるか」
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/029785dm3wq11.html

 ただでさえ令和2年度(2020年)は補正予算3回もやって総額175兆円とかいう空前の予算規模となった割に、予算消化でつまずいて沢山積み残しが出た割にその原資のほとんどが国債発行となっておりまして、借換債やら新発国債やら財政のあれこれについてはいまから危機感を抱いている当局関係者が多くおるところです。

 他方、世の中にはこれだけ財政規模がデカくなったのにMMT理論を信奉する経済学者や市政の皆さんもたくさんおられ、このあたりの経済・財政政策についての相互理解がもっと深まるといいのではないかなと思っておるところです。

 私としては、あくまで市場に関わる人間として「日本円もドル決済でも、相対的に通貨に対する信認が失われて、商品市場や都市部不動産、BTCのような『有限なもの』が有利になる資産バブル状態へ移行してしまった」という相場観をもっており、通貨の価値喪失はダイレクトに「持たざる者」の財布から積極的に価値を抜き取るものになりかねないなあ(=政策が打たれるたび、不利な立場にある持たざる者に貧困が押し寄せる)ということで、相対的に貧富拡大になる方向へ走っているのではないかと思ってもいます。

 もちろん、MMT理論だけでなく積極財政を考える人たちの話も理解できますし、借り換えられるうちはできる限り積極的な支出をしていくべきだという理屈も何となく分かるので、脱コロナ局面で、うまく経済成長に導けるような政策を実現していってほしいというのが切なる願いです。

 他方、国家財政の観点からは、二律背反的な予算主義による単年度の緊縮財政批判・MMT批判とは別のベクトルとして、公共政策と行動経済学とでより弾力的で実効的なテーマで財政を検証し直そうという動きもあります。

 第一線の財政や公共政策、金融政策の専門家の皆さんのお話を伺える機会でもありますので、ご関心のある方は是非ご参加・ご聴講賜れれば幸いです。

 NFI(次世代基盤政策研究所)では、どうもこの手のシンポジウムを重ねて開催してシリーズ化するそうなので、チェックしてみてください。

一般社団法人次世代基盤政策研究所
https://www.nfi-japan.org/

第6回NFIシンポジウム「財政バランスの長期的持続性をどう考えるか」
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/029785dm3wq11.html




 ワクチン接種と国民の態度については、それ相応に各種の事前研究が進み、接種計画に反映されたりしています。なので、ある程度は関係者の間では「肌感」があるところなのですが、さっきTwitterを見ていたら「Facebookユーザーの大多数がワクチン接種を拒否」とか「18歳から29歳までの40%以上がワクチン接種に否定的」とかいう明らかなガセネタが出回っていたので(既に削除)、元論文を観に行きました。

 そしたら、元ネタは独立行政法人産業経済研究所(RIETI)が発行したディスカッションペーパーのていをした調査報告書だったわけなんですが、流し読みして悶絶するような個所がいくつかあり、椅子から落ちそうになりました。

https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/21j026.pdf

 元データが開示されていないので検証のしようもないんですが、まず、18歳から29歳の接種済みと回答した人数が3%ほどいて、いきなりサンプルバイアスがきっついことが分かります。なんだよ、973人に聞いて27人が「接種終わりました!」って18歳から29歳が回答するネットアンケート。嘘つきの集まりじゃねえかよ。




 内閣官房CIO室のダッシュボードでは全国民類型の接種率でしか外部からは見られないわけですが、調査日とされる4月下旬のうち、一回だけでも接種した全国民(全年齢)が0.22%、高齢者が0.61%(21年4月29日現在)であることが分かります。

https://cio.go.jp/c19vaccine_dashboard




 もうこの時点で、ネット調査のサンプルとなっている母集団が調査に適さない設計になっていることが一目瞭然なのですが、そこからさらに、各調査項目に対してクロス集計がされ、評価指標や説明変数が説明されています。ただ、母数がゴミデータなのでいくら説明変数を駆使して推論をかけたところでゴミであることに変わりはありません。

 この内容について、サンプルを検証することはなかったのでしょうか。

 あくまで説明できるのは「接種をしていない人を都道府県単位で見たとき、どういう理由で接種したい、したくないという態度を取ったか」という参考値を提示するぐらいまでです。

 さらに、図1で例示されている内容と、報告中のサマリの内容が逆になっています。



 まだ決めていないが30.1%、接種しないつもりが9.0%と4月末時点で回答しているのを、集計表では見事に逆に掲示しとりますね。



 ワクチン接種計画を自治体が策定するにあたり、ワクチン接種拒否の確率については事前にそれなりに調査しており、高齢者で概ね9%ほど、全年齢で13%ほどという知見は既に得られているので、調査結果だけを見ればそんなもんかなと思わないでもありません。ただ、報告書の根拠となる図表で「接種しない」と「わからない」の数字を取り違えるとか、さすがにあり得ないというか、気づけよと思うわけです。

 社会調査をやる側として「なめんなよ」と思うのは、この調査サンプルの所得や貯蓄額を聞いて、めっちゃみんな金持ち回答しとるところに「この数字はおかしい」と気づかないデータマンは廃業しろと思うわけですよ。大多数が勤労状態である時点でおかしいうえ(65歳以上高齢者の約6割近くは年金生活者)、貯蓄額1,000万が最大派閥になっているベースデータを集計した時点で「変だ」と思わないといけません。



 お前らはルクセンブルクで調査したのか? なので、調査対象16,000人に対し「雑誌をもっとも参考にした人、16人」「Facebookをもっとも参考にした人、15人」「ラジオをもっとも参考にした人、111人」とか、わざわざ信頼区間を出す必要があるのかという根本的なところからデータの詰め方を考え直してほしいと思うわけであります。これだとまるでラジオを聴いている人は限界集落で、皆様のNHKが最高信頼となる金のから揚げ賞になってしまいます。

 種明かしをすると、メディアから居住地、所得属性まで全部横断でクロスするのは16,600サンプルでは本来無理で、もう少し説明変数の候補を絞り、尋ねる内容を厳選すればもっと良い調査サマリーになったと思います。きょうび、メディア接触から本人属性まで全部聞いたうえで、単純にイシューを問うのは調査精度が出ないうえ、追跡調査をしないと本当の影響は分からないでしょう。

 データを再集計したり、月イチか四半期ごとに追跡調査をやって、調査項目を然るべき数まで絞り、ディスカッションペーパーとして再提出されることを願います。




 ということで、経営情報グループ『漆黒と灯火』では、新会員を募集しております。
 このところクソ忙しくて告知を忘れるという体たらくで申し訳ございません。

経営情報グループ『漆黒と灯火』
https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto/

 時節柄、いろんなものを自重しておるわけですが、最近になって日本医師会の会長を務めておられる中川俊男さんのスキャンダルが各メディアに出回り、某方面より「あの記事はお前ではないのか」などの濡れ衣を着させられそうになったタイミングで次回の当会ゲストは前週刊新潮編集長、現新潮社取締役の酒井逸人さんでございます。世の中何事も「間」の問題はあるんだなあと再認識した次第でございます。

 来月は「若き老害」にして労働問題のプロフェッショナル常見陽平さん、再来月も魅力的なゲストをお呼びしてあれやこれや先の見えない漆黒の世情を理解し、少しでも輝く光が会員の皆さまの足元を照らせるようにしてまいりたいと考えております、はい。

 よく考えたら、前回の会員募集から一年以上間が空いてしまい、コロナ下だというのにご一緒させてくださる会員さんもほとんど離脱されることなくお話をさせていただいているというのは私の誇りでございます。もしもご関心を持っていただける方がおられましたら是非お声がけいただきたく、また、末永くご一緒できれば幸いです。