結論から先に申し上げますと、テーマがはっきりしていて紅組と白組に分かれてワイワイ議論している状態というのは民主主義として理想的な形ですから、私は良いと思うんですよ。

 どんどん論じ合ったらいいんです。

統一教会、伊藤詩織、辺野古移設、死してなお問題を残しまくる偉大な安倍晋三 杉田水脈VS伊藤詩織も統一教会もひろゆきVS沖縄極左も根源は同じ(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72380

 中でも、沖縄タイムスの阿部岳さん、面白いじゃないですか。賛成する反対するどちらでも構わないんですが、ああいうキャラクターがいること自体が大事なんです。

 実際、ネット論壇に限らず配信されたニュースの閲覧数やページパワーを見ていても、西村博之さんの関係先以外の流入がとても多く、きっかけこそ「ひろゆきの辺野古基地前の座り込み誰もいないよ画像」だったとしても、途中で問題が周知され、幅広い年齢の男女が改めて沖縄基地問題に関心をもってサイトを訪問していることが分かります。これはいいことだ。

 もちろん、既存の議論でも沖縄県民に多くの基地を押し付けていいのかとか、でも沖縄県民よりも県外から来た活動家が騒いでいるだけだとか、台湾で戦争が起きそうなところで与那国島ほか関係海域の人たちはもっと多くの介入を望んでいるとか、そういう話題はどんどん議論したらいいんですよ。

 そんな中で、沖縄の県庁所在地である那覇市長選や、沖縄市議補選が行われました。沖縄市長選ではオール沖縄が推す翁長Jrが敗退して与党系の知念覚さんが当選、逆に沖縄市議補選ではダブルスコアでオール沖縄の前職の永山盛太郎さんが勝ちました。これは右だ左だ沖縄県民のバランス感覚だという評価よりも、一般的に地方選は人物本位で決まる傾向が改めて出たということであって、亡くなった翁長雄志さんの弔い合戦とはいえ評判の悪い翁長雄治さんが出て一回で勝てるとは誰も思っていなかったという話ではないかとも思います。

 名護市長選も自民党と公明党が推薦した渡具知武豊さんが当選するにあたり、今回問題となった辺野古基地の問題は敢えて是も非も掲げず現職の実績を掲げて押し切り勝ちになっているというあたりを見ても、必ずしも沖縄全体の世論としては一方向へ流れるものでもないのだろうと思います。その点では、沖縄の地政学的な立地の面からも米軍基地問題は典型的なNIMBY問題(Not In My Back Yard;その施設が必要なのは分かるが、私の裏庭にはおかないでほしい)と言えます。

 社会保障問題にせよ原発再稼働にせよマイナンバーにせよインボイス制度にせよ、どれも賛否両論あるけれども反対を押し切って何かをやるためのハードルが明確にならない以上、ゴールポストが動いたり、さして正当性のない反対なのに説明が不十分だなどとしてずるずると決定が後回しになるのもまた日本らしさの象徴と言えるのかもしれません。

 また、今回の選挙ほど、ネットの野次馬が世論を大きく左右した事例もなかったように感じました。逆に言えば、ネットで政策を見て投票する層がさまざまな方面に浸透したとも言えるもので、なるほどねえと強く思う次第です。

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