鈴木宗男さんや佐藤優さんがどうもアカンかったようだというのは以前から薄々なんとなく分かっていたものの、本人はまあ国会議員だし、あるいはロシア専門家でもあるし、インテリジェンスの世界では実績もあり著名とされている人たちだったわけですけれども、今回はこの体たらくでした。

佐藤優「『プーチンの精神状態は異常』という報道は、西側が情報戦で負けている証拠である」 相手の内在的論理がわからなければ、対抗手段もわからない #プレジデントオンライン https://president.jp/articles/-/55331 

 たぶん、どこからもきちんとした情報を入手できておらず、誰にも頼られず、ちょっと宙に浮いてしまっているのではないかなと思いますが、これでインテリジェンスや諜報を語られてしまうと日露のオペレーターたちも苦笑するしかないのではないかと感じます。それ以上のことは良く分かりませんが。

 また、鈴木宗男さんもなかなか厳しい感じになっています。いま、維新におられるはずですが、所属議員個人の認識、意見であるという切り離し方をするのでしょうか。

鈴木宗男氏、ウクライナ側にも責任あるとの認識…講演で「原因作った側にも幾ばくかの責任」 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220315-OYT1T50088/ 

 なお、鈴木宗男さんが派手に罠に引っかかっている記事がこちらになります。

「2島返還」しかない、鈴木宗男氏語る領土交渉の舞台裏:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASP744TVCP6JUTFK00K.html 

 極東や貿易関係しか知らない人間でも、さすがに流れてくるお話を見ている限りでは非常に厳しいなあとも思うわけですね。現状では、対ウクライナのロシア侵攻でテレビなど主要メディアでは防衛研究所を含めて安全保障分野のちゃんとしたアナリストが頑張って出演して解説を施していて、情報バラエティで呼ばれるスポーツ選手や芸能人がウクライナ紛争の「お気持ち」を無駄にくみ取って話が混乱する以外はおおむね正しい情報がメディアに流通しているようです。

 そこにきて、テリー伊藤さんがニッポン放送のラジオ番組で戦争当事者のウクライナ人に余計なことを言って騒ぎになったり、本田圭佑さんがTwitterで余計なことを書いて騒ぎになったり、橋下徹さんが余計な論争をして騒ぎになったりしていました。戦争や災害というものは、基本的に「当事者ではなくても、結論が誰の目にも明らかである」という点で、将来こうなるという未来予測も、どちらの言い分に理があるかという議論も、基本的には明確な結果から事後検証が可能だという点で、非常に分かりやすいイベントなんですよね。

 正直に思ったことを書いた、あるいは、立場上当然言うべきことを言った、と本人たちは釈明するのかもしれませんが、実際になされることは「その人が、どういう立場で何を言ったか」に集約されるわけですよ。

橋下徹さんがウクライナ出身学者と生放送で口論…”国外退去”発言が物議「じゃあ一体誰が国を護る」「よくこんな的外れなこと言えるな」(中日スポーツ)
#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/6aac85a3f36187dff69ca053e71c69b5c5554e9b 

 報道とはいえテレビ番組であり、スポンサーがついている「商品」である以上、橋下徹さんのような出演者が役割として議論を喚起したり、異論を述べて盛り上げなければ視聴率も取れず、報道がビジネスとして成り立たないのは分かります。ただ、ウクライナ紛争に関しては単に戦争であるだけでなく、シリア、チェチェン、ジョージアでの事案同様、日本の隣国であるロシアでの問題であると同時に、ほぼ同じロジックで台湾海峡や尖閣諸島、南シナ海といった日本の利害に直接関係のある国や地域・海域にも影響する有力当事者候補であることは言うまでもありません。

 そうなれば、今回のウクライナ紛争で「誰が(どの媒体が)正しく情報を取り、然るべき議論をした有識者なのか」は浮き彫りになります。逆に言えば、誰が(どの媒体が)間違った情報や評価を流しているか、あるいは特定の当事者の大便をしようとしているのかも、なんとなく分かっちゃったのが今回、ということになるのではないかと思うんですよ。それは、特に今回、国際社会の後押しで国体を守り抜きたいウクライナ大統領のゼレンスキーさんが情報戦を大事にし、また、ロシアもプーチンさんを筆頭にかなり本気でこの戦争を戦い抜くにあたってなりふり構わずに情報工作を推進しているため、結果として、みんなこの問題ではポジショントークがどうだとか無関係に本気で言論活動に取り組んでいる面はあるからです。

科学を信じる民主主義者が言論弾圧に抵抗しなければならない理由|山本一郎(やまもといちろう) #note https://note.com/kirik/n/n86cda3d7d585 
ロシアによるウクライナ侵攻とそれによって日本がいまなすべきこと

 もうこの時点で、2月24日に振られたサイコロの出目は把握された、誰が何を言い、どういう見解でこの問題に焦点を当てていたのかは明確になった、と思います。