日経平均株価が29年ぶりの高値を付けたとのことで湧いている一方、今年度卒業の新卒大学生の就職率がリーマンショック以来の70%を切ってしまいました。これが続くようなら立派な就職氷河期に突入してしまうことでしょう。

日経平均、終値2万6014円 29年ぶり高値:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66316140X11C20A1000000/
大学生の就職内定率69.8% リーマン以来の下げ幅:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASNCK4CR3NCJULFA030.html

 もちろん、コロナウイルスのような強烈な感染症が流行っていて政治的に対策を行う以上、経済が無事であるはずもないので、政治が悪い社会が悪いと言っても仕方がなく、生活を自衛しながら打たれる対策に乗っかって凌いでいくしか方法はないのですが。

 ただ、証券も不動産もやけに堅調で、強い物件はいまなお強く、株価も相場を張っている側ですらちょっと怖くなるぐらいで、まあ、おっかなびっくりなわけです。

 また、youtubeでも喋りましたが、日銀発表で言えばすでに事業者の運転資金を中心とした資金需要はすでにピークアウトし、年末に向けての仕入れがあまり増えなかった(さらに、たぶんハロウィン特需もなかったであろう)ことは間違いありません。各業種の状況で言えば、どこもあまり景気の良い師走とは言えないんじゃないかと思います。



 つまりは、実体経済はズタボロなんだろうけど、証券市場のように公的資金がジャブジャブになっているところは天空の城状態になっていて、これはなんで浮いているんだろう? という話になります。そういう浮いている経済状況で買われる銘柄と生き残る企業に乖離があったとき、結構悲惨な結末になりかねないことは何となく予想がつきます。

 一方で、二期目になり何をしでかすか分からなくなりそうだったトランプさんが負け、ある程度、落ち着いた政権運営をしてくれるんじゃないかと思われるバイデンさんがアメリカ大統領選で勝ちました。グッバイトランプ、俺たちのバイデン。これからは民主党の皆さんと超党派議会の動向を見ながら生きていきます。で、そこにきてファイザーやモデルナが相次いで有効なコロナワクチンの開発に成功。人類は早くもコロナウイルスに勝てる見込みが出てきたわけでありまして、これもまた、証券市場の楽観論に拍車をかけております。

 問題は、熱狂が冷めたときにどうなるのかということです。
 こんな調子がいつまでも続くはずはないんだけど、なにぶん世の中は美人コンテストですので、自分がどう思うかではなく、世の中のお金持ちがどう思うと思うかが問われています。極論、お前らがどう感じようが関係ない以上、「そんなはずはない」と首をかしげながらも上がっている以上は買い上がらなければならない運命にあります。

 翻って、我が国の経済の足元は述べた通りドベカスの状況です。ほんと、どうするのでしょう。

 GOTO イートで無限くら寿司だGOTO トラベルだと騒いでいるうちに、これらのおカネは将来国庫に入るはずだった税金であることにいずれ気づくことになるのですよ。MMT理論もクルーグマンさん指摘の通りケインズ経済学を言い換えただけに過ぎないとするならば、実はいま猛烈な勢いで駄目な経済政策の路線に乗っかっている怖れはあります。あるけど、じゃあどうなのかと言われれば、どうにもならないのですよ。やらないわけにはいきませんから。

 結果として、いまの私たちはどうにもならないトロッコが真っ暗闇の中で猛烈に加速してどこかに向かって行っているのではないかと気づきながらも、降りるに降りられず、ワーワー言いながら身を委ねるしかなくなっているのだろうなあと思います。

 なんかこう、牛肉は腐り際が美味いというか、飛行機墜落間近は無重量状態の浮遊感が体験できますというか、まあもうどうにもならないのだろうなあという気持ちしかないんですよね。

 気休めだろうけど、シートベルトでも締めておこうか、みたいな。

山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)
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