クソが!!! またハズレや!!

 と言いたいところではありますが、長きに渡った東京都知事選挙、皆さんお疲れさまでした。私も今回は情報法制研究所の枠組みを超えていろいろつらつら拝見しておりましたが、やっぱり選挙は遠くから眺めているのが一番ですね。唯一、私の精神の安寧をかき乱したのは選挙中たびたび送りつけられる山本太郎さんに対する左右からの罵声が間違って私に着弾するという不愉快なメールの数々でございまして、終戦後も、不正選挙を許すなという罵倒メールが私のところにやってきて困惑を禁じ得ません。

山本太郎さん、都知事選出馬強行のお陰で罵声メールが今回もやってくる|山本一郎(やまもといちろう) https://note.com/kirik/n/ndd2617b74d52

 選挙前の状況については、メルマガであれこれ書きました。

人間迷路 Vol.301 小池百合子という人物の行く末を考えつつ、都知事選における立憲民主党の残念さやZoomブームの危うさなどに触れる回 https://yakan-hiko.com/BN9896




■1. 今回の都知事選の敗者は「自民党都連」と「立憲民主党」の皆さん

 ということで、まあ何度でも書きますが私は自民党都連の体たらくと言いますか、まあ「お前ら前回の雪辱から4年間いったい何をしとったんや!」という怒りと「これでさらに小池百合子が国政進出したら、土下座した後頭部を踏みつけられるプレイが待っとるんやろなあ」という悲しみとで包まれる次第です。しかも、次に都知事選やられたら副知事の宮坂学さんでもところてん方式に出て来られたらもう何もできません。いまのうちに宮坂学さんと食事会でもやって関係を築いておくのがよろしかろうかと思います。

 一方、もっと悲惨なのは立憲民主党です。これも何度も書きますが、まあ「お前ら小池百合子に騙された前原誠司のやらかしのお陰で『希望の党』に合流できず結党したのがそもそも『立憲民主党』だろうが!」という怒りと「そりゃ支持母体の連合東京が立憲民主党見限って小池百合子支持に回られて出口調査で立憲支持者の3割強が小池へ票が流れているのを見たらもうアカンやろ… アカンやろ…」という悲しみとで包まれる次第です。前回衆院選で吹き荒れた枝野旋風もどこへ、いまや「枝野寝てろ」の状況の中、どのようにして党勢を立て直そうとするのか心配でなりません。

 その点、元から大した期待値を持っていなかった国民民主党は見る影もなく、似たような支持率の維新の会は小野泰輔さんを担いで、一死三塁からセカンドゴロを放って一点を取る的な「最低限」を実現。橋下徹さんが東京一区で出られないなら男気で小野泰輔さんが担がれるのか、はたまた森田健作さんが勇退後の千葉県知事選への転出か、良く分かりませんがまあなんかこの出馬をキャリアに何かしでかしてくれることでしょう。

■2. 泡沫の争いの激化で訪れる個性派選挙と埋没するN国党・立花孝志

 「ポスター三枚並べて貼る」という、地方選挙では届け出順操作でよくある戦術なのを知らずに敢行、供託金ラインどころか2%も怪しい立花孝志さん。もうオワコンでしょ。期日前調査では「おっ、5位か?」と思いきや、選挙当日になってみたら桜井誠さんに大きく水をあけられている状態のようです。このまま終わってしまうのか?

 それもこれも、定番の右翼芸を披露する桜井誠さんと、新興の面白パフォーマー候補者である後藤輝樹さん、込山洋さんらに囲まれ、さらには泡沫らしからぬ本格派の澤紫臣(沢しおん)さんが参戦。もう完全に立花孝志さんが埋没しております。

 そもそも立花孝志さんは幸福の科学の信者であると公言、選挙協力がどうとか喋ってましたが、これも七海ひろこさんが幸福の科学系の幸福実現党広報本部長として出馬。また、堀江貴文さんの出馬を直前まで当て込んで「99.9%出馬する」と言いながら蹴とばされて頓挫しただけでなく、わざわざホリエモン新党という政党まで新たにしつらえたのに肝心の堀江貴文さんは小野泰輔さんの応援に回ってしまうというビッグな不手際も出ます。おまけに静岡4区補選で試した同姓同名候補出馬作戦では「小池百合子さんという同姓同名候補を出馬させられなかった」とかいうお粗末さで瓦解しておられました。

 まあ見ていてなにひとつ上手いこといっていないのが分かってむしろ楽しいのでどうでもいいのですが、政党「NHKから国民を守る党」で支援者からカネを借り、出資法違反ネタから暴行裁判敗訴までゴミのようなネタが詰まっていて大変そうです。

立花氏らが暴行の記事は「真実」N国党首の控訴棄却
https://www.nikkansports.com/general/news/202007010000720.html

 よくこんなの続いてるし、支持してる奴がいるな。

■3. 選挙の事前調査に新風が吹くか? 東京都民1万人アンケート

 NHKが楽天インサイトを使ってついにこんな仕掛けが。ネットリサーチのアンケートパネルから年齢性別の切り出しで1万人アンケートをやったのであって、あくまで「世論調査」ではないという仕込みで頑張っておりましたけれども。

東京都知事選 都民1万人アンケート
https://www.nhk.or.jp/senkyo/opinion-polls/02/

 でもまあ、実際にこんな感じだと思うんですよね。集団の量的特性値の正確な推定を目的とせず、あくまで動向の「傾向値」としてクオータ法を採用し、ネットパネルを政治的な知見として活用する方法を考えたというのは面白い試みだと思います。

 この辺を見ていると、みんな結構ちゃんと有権者として把握しているんですよ。もちろん、ネットパネルに登録し、また、政治関連の質問にきちんと回答している時点で「政治に関心のある層」に間違いはないのですが、一方で、投票所に行く有権者の平均像に近い(無党派で投票に行かない人に政治意識の調査をする意味があるかどうかという点も含めて)わけだから、これでいいのだとも言えるんですよね。

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 例えば、これ。小池百合子さんの2016年都知事選で掲げた公約について問われて、1万人のうち8割以上の都民が「小池バーカ」と回答しています。なんだ、みんな分かってるじゃん。あと、誠実だたなと思うのは「公約を知らない・わからない」が分野ごとにきちんと関心度別に並んでいるあたり、ちゃんとアンケートになってますよね。それでもこの1万人のうち投票率を超える割合の人(例えば65%、6,500人とか)が投票をし、小池さんに投票をしているんだろうなあと思うわけですよ。

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 また、豊洲市場への移転問題についても聞いていますが、そうですか、やっぱりそれなりの都民の皆さんが「あれはまあまあだった」と思っているわけですね。ちくしょうめ。でもそれもこれも、コロナウイルスが流行しなければ東京オリンピック開催直前でクソ選挙になっていたことを考えれば、本当に小池百合子さんはコロナウイルスのお陰で幸運な再選をしたなと思います。

 ということで、今回の東京都知事選50億円ガチャは無事にハズレとなり、アテクシ再選でSSRカブってむかつきますが、これで国政リーチとなりました。踏み台にされる都民、また自民党都連は災難が続きますが、コロナと猛暑に負けず頑張ってまいりたいと存じます。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

山本一郎(やまもといちろう)YouTube
山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)
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