先日のステルスマーケティング騒ぎで、ディズニージャパンがステマを事実上認めて謝罪する騒ぎがありました。

「アナと雪の女王2」でディズニーがTwitterを使い盛大なステマで大失態の件(山本一郎) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20191206-00153907/

 ステマがなぜいけないのかは、清水陽平さんっていう弁護士の人が解説記事を書いていたので、ご一読ください。

相次ぐ「ステマ」、違法ではなくても「よいステマ」は存在せず https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/skillup/00009/00081/

 また、武士の情けというか受託側の悲哀もありますので引用しませんが、ステマを現場で加担した漫画家の皆さんもTwitterなどで個別に謝罪と釈明に追われており、ちょっと可哀想だなと思います。もちろんステマを手掛けることはよろしくないわけですけれども、クライアントから指示があったのであれば、それはまあ仕事欲しさも含めてやらない選択肢はないかもしれません。

 さらに、本件では元請けが電通グループの電通子会社のどこかが関与していたのではないか、という話が出てきました。本当かどうかは分かりませんが。

 そうだとすると、この話は次のような流れで発注があったとされています。


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 発注元である「ディズニージャパン」が謝罪し、委託を請けて漫画家を集めた「漫画家アサイン企業」が炎上し、実際にステマ漫画をTwitter上で掲載した「漫画家」も釈明しているのに、なぜかこれらの発注を束ねたとされるその電通グループ企業(電通PR社?)が静かなうえに、名前も出ないというのは何なんだろうと思っておったわけです。

 そしたら、ウォールストリートジャーナルにいる、世界で最も空気を読まないジャーナリスト望月崇さんがディズニーステマ騒動で素敵な記事を執筆されていました。

Disney Accused of Snow Job Over ‘Frozen 2’ Tweet Apology Japanese artists contradict company’s initial explanation that it intended to show tweets were part of ad campaign
https://www.wsj.com/articles/disney-accused-of-snow-job-over-frozen-2-tweet-apology-11576127949

[Quote] The cartoonist known as Kosame Daizu didn’t identify the agency that told him to hide the promotional nature of his work. Disney hired multiple agencies to help it promote “Frozen 2” including a unit of Dentsu Inc., Japan’s largest advertising and public relations group, Dentsu employees said.

Representatives of Dentsu, Disney’s Japan unit and Disney headquarters in California didn’t respond to requests for comment.

--end of line--


 マジかよ。知らなかったわ。

 で、さらにツイートが。

https://twitter.com/mochi_wsj/status/1204996179110445056

[引用]Takashi Mochizuki ‏  @mochi_wsjをフォローします その他 アナ雪ツイート騒動、続報です。複数の電通社員は自社の関与を認めました。参加した漫画家は「PR表記をつけないよう依頼」とステルスだったことを告白。WSJは電通、ディズニージャパン及びディズニー本社に「誰の発案だったのか」問い合わせていますが、一切反応がありません。

--ここまで--


 クライアントが謝罪に追い込まれ、現場もお詫びして、取りまとめた漫画家アサイン企業がダサい炎上をしているのに、肝心のPR会社が名前も出なくて事実関係の説明もしないでバックレているというのはおかしいわけで、我らが徳力基彦大先生も口からビームを放つほどマジ切れする事態になるのではないかと思います。

 で、ステルスマーケティングは駄目だよってJIAA(日本インタラクティブ広告協会)が音頭取ってステマ対策のためのガイドラインまで発表しているのですけれども、理事長って電通の代表取締役・髙田佳夫さんなんですよね。

日本インタラクティブ広告協会
https://www.jiaa.org/jiaa/gaiyo/

 大丈夫なんでしょうか。正直、責任問題なんじゃないかと思いますし、ステルスマーケティングはそもそもアメリカではFTC法第5条の「欺瞞的な行為又は慣行」に当たり、違法になってしまうことになります。

公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/kokusai/worldcom/kakkoku/abc/allabc/u/america.html

 いや、ほんとやめておけよとしか言いようがないんですが、これってウェブで炎上とかいう話とは別の次元の、ネット広告規制やステマ違法化の議論に容易に直結してしまう事項なので、ほんと勘弁してほしいと思うような案件です。

 さらに、望月さんも続報を出しているようですが、一方でPR業界からは「あれで駄目なら他の案件でも駄目なプロモーションは多い」とか言ってて、もうみんな駄目なんじゃないかと思ったりもします。

 今後の流れには注目してまいりたいと思います。

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