というわけで、昨日11月25日は『激動のコンテンツビジネス・サバイバルガイド』のブックイベントにご来場くださいまして、ありがとうございました。当日は某省庁の調査会から大手プラットフォーマーのカンファレンス経由で直接八重洲ブックセンターにお伺いするという超強行軍だったのですが、日ごろ、業界で懸念を持っている点や悩んでいることなども含めて概ねのところを吐き出すことができてとても幸せでした。

 本書訳者で、対談でもご一緒させていただいた小林啓倫さんのお話も楽しく、登壇者としても一業界人としても大変に有意義に過ごすことができました。また、会場も超満員だっただけでなく、お席が用意できずにお断りしたご希望者も少なくなかったと後から聞きました。その節はすみませんでした。

 イベント後に、まさに当事者の方から「Yahoo! JAPANとLINEの経営統合は本当のところ、どれだけ価値を生めそうでしょうか」というストレートなご質問まで頂戴しました。細やかなところは、私の有料メールマガジン『人間迷路』のほうで解説をしてみたいと思うのですが、個人的には、壇上でもお話しました通り私はソフトバンクグループはYahoo! JAPANの嫁入り先はトヨタ自動車ではないかと思っていましたし、現状のLINEがQRコード決済事業の広告宣伝費負担などもあり1-9月期330億円もの赤字になっていることを考えれば1兆0,800億円もの時価総額がついていること自体が過大であると思っています。少なくとも、着実に利益を出し、日本のインターネットを長らく引っ張ってきたYahoo! JAPANと五分の価値で経営統合というのはどうなのかなと思う部分は強くあります。

 一方で、両社補完の材料で言うならば、LINEが持つ8,000万人近い利用状況でお客様とスマートフォンという主戦場で近い関係が持てるというのは大きいとも思うので、ビジネスという点では確かにLINEは今後、強くなっていくとは思うんですよ。ただしそれは、東南アジアも見据えながらも結局は日本ドメで頑張ってきたYahoo! JAPANと、同じく日本がメインのユーザー層であるLINEとで日本のマーケットではビッグパワーになったとして、やはりGoogleやAmazon、Alibabaといった海外プラットフォーム事業者に太刀打ちできる状況には程遠いので、おそらくはさらなる大型買収をどこかで仕掛けるか、アリババに再売却するかぐらいしか出口がないんだろうなと感じます。

 そういう業界の変動自体も、別に長い目で見れば当たり前の変化だったと振り返ることも多いわけでして、今回のようにソフトバンクグループのキャッシュ不足から業界的に収益性の上積みの余地が少ないYahoo! JAPAN(Z Holdings)の嫁入りはどこかのタイミングでせざるを得なかった、仮にそれが虎の子であったとしても、という点は変わらないのではないかと思います。

 また、どこかのタイミングで小林さんともご一緒するようなイベントをやろうということでお話も進んでいるようですので、今回ご一緒できた皆さんも、ご希望されていたけど残念だった方々も、ぜひ引き続きよろしくお願い申し上げます。


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