いかんのか?

 という韓国系の小ネタをひとつ。といっても、ワイ的にはそれはどうなんだと思うわけですけれども、世間的にはどうでもいい感じでありつつ、実際の彼らの「外国世論はこうなっています」という報告の粒度が知れる話でもあるので、問題のない範囲で。

 国際的なサイバーインシデントについて情報収集を行うアメリカの会社があるんですが、昨今の日韓情勢があれこれ問題になっているので、日本と韓国の「民情(国民感情)」についての調査をよりきめ細かくやろうという話が流れてきたんですよ。

 で、私も席を置かせていただいている情報法制研究所にサイバーインテリジェンス研究会(所)というのをお世話していただいていて、4年目になり改組するにあたって「話ぐらいは聞くか」と思い、打ち合わせに行ってきたんです。

 そしたら、韓国側、それも、おそらく韓国政府が何らか作成に関与したであろう(少なくとも、日本人が日韓問題にどういう心象を持っているのかを調べて欲しいと指示したであろう)文書がだだっと出てきて、目が点になったんです。おいこれどう見ても某所ログですよね。

 民情の調査にあたっては、Twitterのトレンド解析とか、Yahoo!JAPANが提供するリアルタイム検索でのワードインプレッションなどを見ながら、キーワード単位で区切って特異な情報があるかどうかを分別するってのが少し前まで大真面目にやられていました。馬鹿馬鹿しいし意味がないということで数年前にみんなやらなくなった調査手法なんですけれども、お隣の国では「俺たちのことを日本人はどう思っているのか」という調査をやるのに、こういう公開情報をかき集めてきてクソ正直に分析をしてたんですね。いまは、「何が書かれているのか」ではなくて「これを書いたのは誰か」でクラスター分析をする前工程をやるので、書かれていることをいちいち読んで顔真っ赤にして怒るってことはやらなくなった、はずでした。

 しかしながら、基本的にネットで流れる情報は常にネガティブな声が大きいか、党派性の強いものが多くなりました。要は、ゴミがたくさん流れます。また、誰かを意図的に操作しようとする情報が増えました。例えば、「津田大介」で検索すると圧倒的多数が津田大介さんに対する罵倒が並び、圧倒的多数が「津田大介バーカ」という内容になります。いいですか、これは私が津田大介さんを馬鹿にしているんじゃありませんからね。世間一般の人が、津田大介さんが駄目だと馬鹿にしているわけです。

 で、これらの情報の流通量がハネるケースがあり、これを「スピン」というわけですが、最近の津田大介さんの話題としては、WEBDICEで浅井隆さんが津田大介さんにインタビューした記事がどうしようもなくクズ過ぎてみんなで一斉に津田大介さんを馬鹿にしているという図式でもあるわけです。いわゆる「炎上したところに燃料」という定番の話ですが、実際のところ、新たに出る情報に対して反響がどう移り変わるのかはとても大事なファクターなので、そこは気にするわけですよ。

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 津田大介さん支持の書き込みは1%、批判的な書き込みは35%となっていますが、よほどのことがない限り、ウェブで議論される事象や人物は概ね否定的なものが中心になるのは仕方のないことだと思います。なので、ウェブでの情報を鵜呑みにして津田大介さんを馬鹿にするのはほどほどにしておいたほうが良さそうです。

 津田大介さんが馬鹿であるかはどうでもいいとして、ウェブでは批判や批難が大勢を占めるのはみんな分かっているので、より大事なところとして「どういう定性的なコメントがあったのか」「それを誰が言っているか」が大事になってきます。問題は「否定的なことが書かれている」よりも「否定的なことを書いているのはどのクラスターか」です。再現性のあるデータが出れば、その人の党派性や価値観が色濃く出て、そこから「おそらく同じ問題が出たときには、その人やそのコミュニティはこういう意見が出るであろう」と予測をするわけですね。

 そういうのも踏まえて、普通は世論対策を考えたり、ある事件に関する情報について、出すか出さないかを判断するのが普通だと思っていたのですが、どうも韓国は日本の世論について不思議なところで「定点観測」をしていたことが分かり、軽くショックだったんですよ。

 出てきたサマリーを見る限り、言葉の、あの、使い方というか、単語みたいなのが、どう見ても、その、なんJ(なんでも実況)そのものか、そのなんJをまとめたまとめサイトであることが分かるわけでして、いや、まあ、うん、なんかちょっとこう、アレなんではないかなと。そう思うわけです。

 もちろん、これにはきちんとバックグラウンドがあって、韓国の情報収集については、国情院(大韓民国国家情報院)という大組織がありまして、おそらくその日本などの対外情報をかき集めるにあたっては、その一部で彼らはNAVERを使っております。そのNAVERは日本においてはLINEと関係が深く、その名残で、NAVERまとめや、2ちゃんねる系まとめサイトの情報を継続的に収集してきたという歴史的経緯があるのだろうと思います。

 そして、その2ちゃんねる系まとめサイトやNAVERはLINE系統のブログサービスや広告配信の仕組みをLivedoor BLOGの時代から引き継いでいて、これ自体は別に韓国だからどう、日本だから何だというのとは別に、あまり善悪なく使ってきたんですよね。おそらくは、先方に馴染みのあるサービスがあるから、日本の民情に関する情報収集に使おうというだけだろうと思います。

 なので、LINEが悪いわけじゃなくて、そういう韓国ネタをいっこいっこ正面から丁寧に読んで顔真っ赤にして怒ってる韓国人は、そりゃ日本人に対していい感情は持たないだろうなあと思いますし、同じサイバー上の情報収集をやるにも他にもっと良い方法があるだろうとも感じます。これでは、日本人全員が韓国人を馬鹿にしているみたいじゃないですか。もちろん、韓国側もそれ一辺倒でやっているわけではなく、東京新聞とか多くのマスコミの協力も得ながら広範な情報収集をしているはずなのですが、たまたま周辺から出てきた資料がなんJだったので腰が抜けて椅子から崩れ落ちそうになった、というのが正直なところであります。

 まあ、それじゃあ日本も威張れるほど優れた情報収集をしてきたのかと言われるとかなり心許ないわけですし、そもそも日本は人員が少なく、民間がかなり頑張ってどうにかしている部分でもあるので、ここは日本古来の精神でもある「おたがいさま」の思想で割り切って頑張ってまいりたいと存じます。

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