今日はG20裏のアレな会合にお呼ばれしたわけですが、日米以外からの来賓の方たちが一足先に帰路についた後で盛り上がったのは例の「ヤフージャパンがスコアリング事業への参入」事案でありました。なんかこう、総立ちでヤフーについて、またソフトバンクについて、日米の情報関連が幅広く話し合えたというのは画期的なことでした。サウジアラビアからスプリント、5Gまで。

 個人的には、ヤフージャパンの関係者やソフトバンクの偉い人たちの顔がちらちら浮かぶので、きっとあまり良からぬことを企んで面白スコアリング事業に進出したとはとても思えないわけですけれども、そもそもCCPA通らないし、EUが頑張っているGDPR的にも何してくれてんのという話じゃないかと思うんですよね。

https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml

 いろいろと悩みも深いでしょうし、焦りもあるんだと思うんですけれども。

コラム:ソフトバンク、ヤフー子会社化で操る「目くらまし術」 https://reut.rs/2H9CMUM

ソフトバンク、ヤフーを子会社化 FinTechなど非通信事業を強化 - ITmedia NEWS https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/08/news124.html

 基本的な考え方は、高木浩光さんの「自宅の日記」の内容とほぼ同じです。ただ、ヤフーのことだから何かをしたくてスコアリングに進出し、昨年末からの実証でそこまでオプトインしてくれそうにないから今回のことをやらかしたのかなとも感じます。庄司昌彦せんせもブチ切れていて、情報銀行界隈というより法クラ全体が唖然としている趣すらあります。

ヤフーの信用スコアはなぜ知恵袋スコアになってしまったか
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20190609.html

https://www.facebook.com/mshouji/posts/10157390682251823

 また、個人的には「虎の子であるはずだったヤフーID(Y!ID)をどういう理由かTポイントと統合してしまい、結果として日本国内の狭い市場ですらブロック経済圏を作ったために行き詰って、PayPay以降はTポイントを切り離すなど時間を壮大に無駄にした」ようにも思います。Tポイントについてはさんざん申し上げてまいりましたが、つまりはドブ客をいくら集めてもドブさらいのデータしか出てこないという当たり前の結論になるわけですし、彼らも分かっていたけど転換できなかったんでしょう。

 いずれ、ソフトバンクとみずほFGでやってるJ-SCOREなど具体的なサービスとの連動を視野に入れていくとは思いますけれども、ヤフーの情報を吸い上げたところでどれだけの与信が可能になるのかはよく分かりません。むしろPHRや家族構成、所得の予想などからライフイベントを割り出していったほうが正確じゃないかと思うんですが、とにかく野良データを全部集めて解析するというような方向に走って行ってしまいました。

 それでも、ヤフーならできるんじゃないか、やってくれるのかなという淡い期待もあるわけですよ。日々のデータを全部取っておけばそれに見合った未来予測・行動予測やレコメンド、広告効果向上ができるようになるかもしれない。

 ただ、足元でやったのは藤代裕之さんすら失笑してしまうような「デフォルトでオン」の情報収集であり、もうちょっと丁寧にやればいいのになあと思わずにはいられません。丁寧にやったら承認してオンにしてくれる客の割合が少なくてたいしたデータが取れないぞというのはあるかもしれませんが、その辺はみんなる程度条件は一緒ですからね。

 まあ、ヤフーには早いところ正気に戻っていただいて、良い形で着地することを祈るのみです。

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