民進党の分裂問題もありつつ、野党統一候補がしっかり立てられれば反安倍・反自民票の結集もある程度可能、といわれる中で、立憲民主党も自由民主党に代わる政権を任せられる政党へと脱皮を図っていくのか… と思いきや、反原発運動の旗手の一人で、芸人のおしどりマコ氏を来夏参院選の比例公認候補として擁立すると立憲民主党が発表しました。

 そうですか。

 おしどりマコ氏ほど、福島県全体の風評被害にまで発展した福島第一原発事故の事案では放射能デマの発信源とされ左右ともに問題視される人物も多くないと思うわけなのですが、反原発のワンイシューで彼女を擁立することの恐ろしさを立憲民主党はあまりよく理解していないのではないかと思います。

「立憲民主党、おしどりマコ氏を参院選に擁立」の衝撃ニュースに賛否両論 - Togetter https://togetter.com/li/1271746 

 さっそく身の回りの立憲民主党の関係者に経緯も訊きつつ「本気ですか?」と尋ねたところ、どうも折悪く「立憲フェス」なるイベントをやっていたようで、ドタバタしているようでした。まあ、支持者を集めてきっちり固めていくのは大事なことだとは感じます。

 一般の有権者からすると芸人としては「おしどり」というコンビ自体の知名度は低いと思いますが、それこそ今回の自民党でも杉田水脈論文の炸裂から維新の長谷川豊氏立候補まで泡沫だから大丈夫、下積み中の議員だから何を言っても影響が小さいとは言い切れないのが選挙です。福島ヘイトネタや恐怖を煽る根拠のない放射能ネタを繰り返し行ってきたぶんについては、やはりワンイシュー議員とはいえ気にしておいて然るべきかと思いますし、立憲民主党が政権を取るというのはその気持ちが強かったとしてもなかなかハードなんだろうと思う次第です。

 一方で、反原発運動そのものは、政策として一定の浸透をしてしまっているのが現状です。今回の北海道での地震に伴い、政治的なプロセスを踏む途上であった北海道電力・泊原発が稼働していなかったこともあって、北海道全道での停電の発生という微妙な事態となりました。これ、冬じゃなくて良かったよねというレベルの話で、原子力発電に対するアレルギーや警戒感は一定の理解をし配慮は必要だとしても、目先の人命や不便を強いる問題についてはもう少し丁寧に説明を繰り返し政策議論を進めておくべき必要はあるのではないか、と思います。

 とはいえ、政権奪取を見込む野党第一党が、政権負担能力の重要な一角であるエネルギー政策全体について議論するべきところで、イデオロギー的な反原発運動の旗手としておしどりマコ氏の公認をすることになったのだとするならば、正直たいした能力を発揮することもなかった旧民主党政権と同じ轍を踏むことになるでしょうし、民進党解体のときに行われた議論を経てもなお、枝野幸男さん以下執行部はものごとをしっかり把握できていなかったのではないかとすら感じる次第です。


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