ちょっと備忘録気味に。

チケキャン運営会社を捜索 京都府警、高額転売促した疑い
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20171228000012
チケキャン運営元社長ら書類送検 詐欺容疑で京都府警
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180111000086
「チケキャン」元社長ら書類送検「誠に遺憾」 ミクシィがコメント - ITmedia NEWS http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1801/11/news109.html

 京都府警が詐欺容疑で持って行ったもののどうもいろいろ不備があるらしく、立件しても公判維持できるかどうか微妙な雰囲気なのですが、書類送検されたことを受けてフンザ社が運営するチケット転売サービス「チケットキャンプ」も畳むことになっております。

 話では、なぜか「ジャニーズ通信」が槍玉に挙がっていますが、これ、あくまで書類送検で引っ張るためのテクニカルな問題に過ぎないはずなんですよね。

[引用]

同社は、ジャニーズ所属タレントの情報サイト「ジャニーズ通信」なども運営しており(6日に休止)、ジャニーズ事務所の商標権を不正利用した疑いがもたれていた。

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で、今日になって他のチケット転売サイトにおいても、興行主が設定していない高額転売に関しては順次問題視するという方向で話が進むことになったとのことで、個人間の取引においても顔認証を含む購買者本人の認証がつくものについては転売不可、転売を斡旋した場合には利用不能なチケットを販売する詐欺行為という認定に一歩踏み出すって感じでしょうか。厄介な話になったものです。

 そうなると、プロ野球やプロレスといった席指定のチケットも購買者認証がついたら転売者死亡ですし、宝塚も松竹も概ねアウトになります。大丈夫なのかそれでって気もしますが、そういう流れであることには変わりはありません。ただ、この手のイベントって、その場の勢いで「どうしても行く!」と思ったものの、その日に体調が悪かったり、外し難い用事ができてしまったり、行けないときは誰かに譲りたいという気持ちにもなるわけですね。そのときに、第三者転売ができない仕組みであると来る人も困るので、やはり興行主が転売用の仕組みをどこかと組んで、もしくは自前で用意しないといけないのではないかと思うわけです。

 京都府警的には、どうもイベントやライブに行き、体験を得ることを財産権と分類したようにも見えます。それであれば、参加できないイベントのチケットを本人認証ごと第三者に譲渡したとき、その第三者は本人ではないのだから詐欺だっていう構成なのかもしれませんが(関係者や京都府警の担当者によって微妙に言うことが違うので、違う構成の可能性もあります、これはあくまでわたしの理解で、要確認です)、一方で財産権と規定するならばその人の意志で譲る権利も持ち、むしろそれを制限することのほうが違法じゃねえのかという感覚を持ちます。

 その意味で、万が一そういう方向であるならば京都府警は勇み足であった、しかしその勇み足があったがゆえに、チケット転売問題は興行主側(または業界団体側)が流通の仕組みを自前で用意するようにしましょうという流れになるのでしょうか。

 印象的だったのが、ガサ入ったあとの関係者ヒヤリングの席で興行主やアーティストが口を揃えて「カネが欲しくてライブをやっているわけではない。人気があるからチケットが高く流通するというのは光栄だが、ビジネスだけではなく、来たいと思ってくれる人に来てくれる仕組みのほうが重要だ」といって、いろんなものが突破されていったあたりでしょうか。まあ、本当に熱心な高校生が払う3,000円と、どっかの金持ちが姉ちゃん連れて叩きつける10万円では前者の方が「人間的にも文化的にも価値がある」と言い切れる音楽業界関係者が多いのは救いでしょうか。

 一方で、”体験”も財産権だとするならば、しっかりとした二次流通の仕組みを用意しなければ、同様の問題はたくさん発生します。フンザ社はよりによってジャニーズ事務所に無防備で戦いを挑んでしまったわけですが、周到にやっていればジャニーズ事務所の無理筋や横車は簡単に排除できただけに惜しい部分があります。

 今度は京都府警が返す刀でAKB商法に踏み込む話もあるようですし、この手の話は「何が適正か」って議論にはもってこいの題材ですので、興味を持って見守りたいと思います。


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