海外にいたのでリアルタイムでは観ていないんですが、報道を見る限り4時間のロングラン証人喚問は与野党どちらにとっても実りのあるものとは思えなかったんですよ。

【佐川氏証人喚問】不祥事の出口見えず財務省沈痛「これからどうなる…」「真相は藪の中」 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/affairs/news/180328/afr1803280001-n1.html
佐川氏「誰のために仕事してんだ」 部下を叱った過去も:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASL3W5JFJL3WUTIL055.html

[引用]

いい加減な仕事をした部下に「誰のために仕事しているんだ。俺じゃなくて納税者のためだろう」と叱る姿を覚えている職員もいる。

--


 もちろん、公文書の改竄(書き換え)は問題が大きいでしょうし、国会の答弁の辻褄を合わせるために細工を指示したのが事実なのであれば、それは刑事訴追も含めて対応が求められることに変わりはないでしょう。

 ただ、将来を嘱望され、良い大学に入り高級官僚になって人生を霞が関で国家や社会に捧げた結果が、一風変わった学校法人の土地取引の値引き云々で大きく取り沙汰されて、人生を滅茶苦茶にされてしまうというのは如何なものかと思うのですよ。また、この問題に関しては財務省が組織として役人を守り切れず自殺者まで出してしまったわけでして、もちろん重大な問題ではあるのだろうけどそこまでの話なのか、と感じてしまいます。

 ましてや、刑事訴追を理由とする供述拒否権を認める憲法38条1項「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」ことも忘れて証言拒否に文句を言う筋もあり、我が国の人権はどこに行ってしまったのか不思議に思う内容もありました。

 いずれにせよ、ある意味で国民のガス抜きショーとして佐川さんの証人喚問が取り沙汰され国民の関心事になってしまったというのはどうもなあと感じる部分もあり、普通に目の前の仕事に真面目に取り組んでいるはずの財務省があたかも国民にとって悪党の組織のように扱われ、犯罪者も同然にメディアで報じられるのもいかがなものかと感じるわけであります。

 和田政宗さんも「財務省の陰謀論」を国会で語り、財務大臣の麻生太郎さんにレベルの低い質問と切り捨てられているのに開き直ったような物言いをしている一方、山本太郎さんも安倍晋三総理に「いつ辞めていただけるんですか」と迫ったり、まあもう少しどうにかならないのかと思うような事態が連発しているのが気になります。

麻生氏、自民議員に「レベル低い質問」と厳しく批判 https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201803210000195.html
【炎上】山本太郎「総理、いつ辞めて頂けるんですか?」が失礼すぎる | netgeek
http://netgeek.biz/archives/115378

 ノイジーマイノリティが右と左に分かれて面白おかしく政治ショーをやっているだけではさすがにマズいわけで、幕の引き方も含めてそろそろ真面目に考えるべき状況になってきたのではないでしょうか。

 あと、いままで霞が関の官僚各氏も、メディアが面白おかしく書き綴る各種問題について、きちんと反論したり抗議したり、場合によっては名誉棄損も含めた法的措置を取ってもおかしくないものは放置しないほうが良いと感じます。ガセネタをメディアが書いても役所が黙っているからこそ袋叩きにしても大丈夫と思っているのかもしれませんし、そのくらい言いがかりのような内容でも甘受し続ける必要もなくなっているように思います。

 ただでさえ、官公庁勤めは魅力がなくなって日本のトップの大学からの志望者数が減ってきている現実がある中で、佐川さんのような人が弾除けにされるようでは未来がないんじゃないでしょうか。優秀な人が高級官僚を目指せない状況では、国家の未来が暗くなるのではないかと感じてしまった証人喚問でした。


kokkai_touben_shingi.png