やると思ったんですよ。

米韓首脳夕食会に元慰安婦招待 | 2017/11/7 - 共同通信 47NEWS
https://this.kiji.is/300497439499109473

 現状の韓国外交については、鈴置高史さんも書いておられますが(あの交渉文書が「降伏文書」にあたるものなのかという判断は別として)韓国は韓国なりに北朝鮮との紛争回避に動きながら自国の威信を維持するために手段を選ばず頑張っているという状況だと思うんですよね。

中国に「降伏文書」を差し出した韓国 THAAD追加配備も拒否する「3NO」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/110200136/

 また、同様に韓国は「日韓は同盟関係にない」とアメリカに事実関係の確認をし、トランプさんも「まあそうだね」というモードでありまして、万が一の事態を前にして韓国として最大限の突っ張りをしているようにも見えます。

韓国大統領:「日本は同盟相手でない」 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171106/k00/00m/030/071000c

 それにしても、ここに来て日本であれだけ歓待されたトランプさんを前にして韓国のターンでこのアクションというのは、韓国内の国民感情を優先して日韓間の関係改善や偶発的な対北軍事事変での保険を打ち捨てたようなものでして、挑発を打つ先が本来は間違っているような気がします。ただ、韓国外交において「何が正解か?」って訊かれてもそれは誰にも分からない。酷い仕打ちをしてこない近隣国は日本ぐらいだから、韓国内の国民感情優先でいいやってことなんでしょうか。

 なお、懸案の北朝鮮「並進路線」と言われる段階的発展の内容についての論考が出ていました。

北朝鮮「核ミサイル開発の目標達成」か?『労働新聞』の気になる論評 金正恩氏の「並進路線」の実態
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11032 

 かなり蓋然性が高い議論なのですが、これがある程度知れているのだとするならば、中国が春頃からのトランプ大統領の動きを牽制しつつ時間を稼いだのも、ロシアが対北朝鮮経済制裁の裏側からひっそり物資支援をして体制を温存したのも、アメリカや韓国、日本の対北朝鮮外交や政策を事実上無駄な努力に仕上げるためのもんだったのかもしれないな、と思い至ります。

--引用--
金正恩委員長は9月下旬から、リンゴ畑や田圃、靴工場、化粧品工場といった国民生活に密着した「現地指導」を再開した。これらの現地指導は、今春から激減し、7月、8月には一度も行われていなかった。最高指導者が現地指導に訪れる先の分布はその時々の重点項目を示すものであり、核・ミサイル開発に集中して気を張り詰めていた時期はひとまず終わったと考えることができる。
--ここまで--

 私も以前、似た論考を書いておるのですが、おそらく非常にアレな感じのトランプ大統領よりも、北朝鮮の若き独裁者・金正恩さんのほうが比較的まともで合理性のある論考のできる指導者なのではないかと思うのです。

北朝鮮有事を睨む11月5日、トランプ大統領来日|やまもといちろうコラム
http://dailynewsonline.jp/article/1371317/

 まずは核開発やミサイル発射実験を行って核ミサイル配備という核抑止力に基づいた報復・反撃能力を持ち、その上で外交的な圧力を受けない状態から北朝鮮の経済開発を行っていくという路線ではないかというのは、対北朝鮮観という意味ではまあまあ支配的なものではないかと思います。

 その意味では、いまの東アジア外交において日本の立場では一番の波乱要素はやはりトランプさんであり、次いで良く分からない韓国外交なのではないか、という日本にとって実に振り回されやすい状況に陥っている、と見るのは斜に構えすぎでしょうか。

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