かねてから比較文化論では出てくるネタではありますが、日本人は「自分のことを問われると自画自賛しないで抑制的である」という特質がもろに出てしまうアンケート調査が毎年ありまして。

日本のZ世代は世界に比べて「創造的」ではない?
自らを「創造的」と回答した生徒はわずか8%
http://www.adobe.com/jp/news-room/news/201706/20170629-japan-gen-z.html
Adobeの若年層(12-18歳)に関する衝撃的な調査発表。 - Togetterまとめ
https://togetter.com/li/1130045

 なぜかこの内容を真に受けた中村伊知哉せんせがtweet連投という惨事を引き起こしていて、微笑ましく思うわけです。もちろん、中村せんせが感じた危機感というのは健全なもので、それを否定するつもりも毛頭ないのですが。

 で、過去にもなぜかサーチナでも記事が出るぐらいに、日本というのは文化的な差異もあって創造性は評価されてきておるわけですが、彼我の差というのはごく単純に「身の回りにもっと創造的な人間がいるので、相対的に見て自分は創造性がないのではないか」「まだまだです、自分は」と回答してしまう日本人のメンタリティによる部分が大きいと考えております。

日本人の「創造力がない」という自覚は、外国からの評価に反する=中国メディアが調査結果を紹介-サーチナ http://news.searchina.net/id/1592095?page=1

 この辺は文春オンラインでも記事にしたんですけど、日本人に欧米人と同じ訊き方でアンケートしてはいけない、そこで出た結果を真に受けてもいけない、というのは中学校の公民の教科書に入れておくべき事実だと思うんですよね。日本人は自信がないのではなくて、他人と比較して登るべき山が高いことを自覚する人たちによる社会なのだ、と思うので。

「お陰様で」「ぼちぼち」を世界で盛大に誤解される日本人 http://bunshun.jp/articles/-/2733 

 蛇足ですが、他人に対する評価がとても辛いのも日本人です。

「日本のゲーム評価は少しでも気に入らない点があると極端に低評価になるので海外優先になる」という話を聞いて納得した - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1061605 

 っていうか、多様性って大事だと思うんですよ。

 日本人は創造力が豊かだ、と海外から言われるのも、日本人の育ち方や文化が特殊だからです。で、その特殊な文化を持つ日本人と、世界標準の欧米人とでアンケート結果の傾向が異なるのは当たり前で、そこで「創造力がありますか」と尋ねると日本人が突出して「いやいや、私の想像力なんてまだまだですよ」って謙遜する回答が大多数になるというのは、まぎれもなく世界から見た日本は多様性の象徴であって、あれを見て「ヤバイ、日本人の創造性が危機に瀕している!」とびっくりするのは単なる馬鹿であることをぜひ知っておいていただきたいと願っております。

hikkoshi_shinkyo