きょう、なんかLINEが事業説明会やってましたが、そこでCCCの提供するTポイントカードに見切りをつけたファミリーマートがLINEと組む発表をするという「ですよねー」感の強い内容も出ていました。

事業戦略発表会「LINE CONFERENCE 2017」開催のご案内
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1743
ファミマがTポイントやめる? 伊藤忠社長インタビュー記事が波紋
https://www.j-cast.com/2017/06/08300105.html
ファミマとLINE提携 AI活用、スマホで個別販促  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ13ICF_U7A610C1TI1000/

 ファミマがTポイントをやめるって話は時期尚早というか、微妙なんでしょうが、相乗りやマーケの組み合わせ方は柔軟に考えるという方針になるのは間違いないでしょう。

 結論を言うと、Tポイントカードがやろうとしていることは別に悪くはないのです。ただ、CCCが集めたデータを他の商流で活かそうとすると、とんでもなくコストがかかることになるだけでなく、他の手法に比べて売上が上がらないことにみんな気づいてきたってことだと思います。

 実例を出すと差し障りがあるんでざっくり言えば、オンラインならばYahoo!JAPANが展開する「サイトリターゲティング」やGoogleの「リマーケティング」といったリターゲティング広告のアプローチが、リアル店舗ならば顧客リストにプッシュ配信とクーポンを組み合わせる仕組みが、おのおのCCCの提案するサービスよりもはるかに高いCVRを叩き出すので、単純にTポイントカードでポイント還元させて得られる顧客データよりも魅力的になります。

 結果として、わざわざカード発行してポイント還元して、というマーケコストを垂れ流しにしてかき集めるユーザーデータ、そこから導き出すアウトカムは、もっとシンプルで安いマーケコストを実現できるアプローチに負けるよとなれば、Tポイントカードを店頭で運用すること自体が高コストであり、要らない子になってしまうわけです。

 ではCCCが何か悪辣なことをしているのか、暴利をむさぼっているのかというとそうでもなく、単に役立たずなだけで、頑張ってはいると思うのです。また、ベクトル志向で尤度の高いデータを大量に持って運用するというのはCCCならではなので、世界のどこかに私の知らないCCC向きの最適なビジネスが存在するのかもしれません。ただ、私の観測範囲では、リクルートにも楽天にもイオンにもCVRで負けているCCCがやろうとしていることはまあなんつーかアレだなという感じにはなります。

 なんでCCCはあれだけ購買データ持ってて優れたデータマイニングの仕組みも組織ももっててCVR低いのかというのは、ごく単純に出口の決済データでろくなもんをもってないからじゃないかと思います。というか、Tポイントカードの利用店舗の単価がゴミなので、ゴミ利用データしかもってないんじゃないかというぐらい、安く弱いアウトカムしか出てこないんじゃないかと感じます。

 たぶん、この辺はCCCの現場も「分かってるけど負け戦」なんでしょうし、他の事業者系に比べて弱いアウトカムでも頑張っていこうにもJRもドコモもauも自前のポイント経済圏を持ち始めればCCCは草刈り場にならざるを得ません。コアとなる金融事業もなければ高額利用者データもないのでは厳しい部分はあるかもしれません。「そんなことは最初からわかってたはずよ」って母ちゃんから怒られるかもしれませんけど、まあなかなか単独ではこれから厳しくなっていくでしょう。

 CCCはこれからフィンテックだーみたいな話もあるみたいですが、私も楽天陣営にいてもなお、そう簡単じゃないぞというのがサービスに紐づいたフィンテック界隈のむつかしいところです。だからこそ、CCCには独立系としてもっと頑張ってほしいと思いますし、引き続きいろんなサービスの先鞭をつけてほしいと願うところですけれども、やっぱこう、この界隈も個人に関する情報の取り扱いのすったもんだを経て、結局はリタゲに戻ってきちゃった、リタゲを超えられるCVR取れないなら仕組み自体を持っとく必要もないじゃんって感じになりそうなんですよね。

 もちろん、できることはたくさんあるのですが、これをやればCVR高いぞ、リタゲ超えるぞってのがあればいいんですがねえ。

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