問題のない範囲で書くと、慰安婦少女像の撤去も含めた(明文化はされていないが)日韓合意の履行の行方よりも日本の国益を左右しそうなのが崔順実女史絡みの国政介入事件で、さらにはグループの裏金作りなどの工作の実態が出てきてそのままバレて御用、という流れになってます。

韓国最強のサムスン法務チーム、トップの逮捕状請求を防げず-Chosun online 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/16/2017011603085.html 

 韓国独自のこと(OINK:Only in Korea)と馬鹿にして流すのは簡単なのですが、むつかしいのは他の外交問題とのリンクや、日韓経済交流の本流のところにまで火が回ると日本も対岸の火事とは言えない状況に陥ることです。

THAAD:土地交換契約、中国の報復にロッテは及び腰-Chosun online 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/17/2017011700667.html
韓国国政介入事件 サムスンの次の捜査対象はロッテとSKか-Chosun online 朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/16/2017011602462.html 

 一部の証券筋では、すでにサムスンだけでなくロッテに対してもグループ資産の不正計上の疑いや海外事業も含めた国際的な脱税捜査に着手するというような話を流し始めているようで、事実だとすると日本との貿易や日本にある企業資産にも影響が出てきますし、韓国の通貨リスクは地味に大きくなるでしょう。

 状況は進行中であり、着地点がどこにあるかも定かではないのですが、THAADや日本を含む貿易にまで火の手が回っている、しかも韓国司法当局が韓国国内の民情に揺さぶられるように韓国稼ぎ頭の多国籍企業を攻撃するようになると、文字通り韓国経済が自壊してしまい、笑っていられる状況でもなくなります。日本もデカップリングして切り離したいと思っても、そう簡単には話が進められないと思いますし、誘爆する大手企業も出てくるでしょう。

 日本にとっては迷惑この上ない状況ですが、韓国は韓国で、外交状況が危機的で非常に切実なうえに当事者である朴槿恵大統領が弾劾訴追可決で当事者能力を実質的に失っているため、暴発する韓国内の民情をコントロールできる状態にないとも言えます。新潟県立大学教授の浅羽祐樹さんの記事は日本国内でも反発が強かったようですが、圧倒的にごもっともなので、NHKの時事公論(解説委員の出石直さん)と併せて目を通されると良いのではと思います。

慰安婦少女像、「合意」守らない韓国の裏事情 : 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170113-OYT8T50011.html 
「慰安婦合意 崩壊の危機」(時論公論)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/260578.html 

 個人的には、日韓合意に基づく慰安婦少女像の撤去を含めた対応を、韓国政府に粛々と日本政府が求めていくということで良いとは思います。ただ、ここで無理に日韓関係が一層こじれるような対立や差別を煽ると、韓国政治が一層不安定になって取り返しのつかない事件、事故、現象を韓国発で起こすトリガーを引いてしまい、日本も困ることになりかねないので心配です。日韓スワップ協定もこれらの対応を韓国政府が誠実に実施できるまで先送り、という程度で納めておきつつ、冷静に事態を眺めておきたいと思うところです。

 個人的にはちゃんとパリーグが開幕できることを祈ってやみません。