さっき、金融日記の藤沢数希さんの小学校受験ネタがあって、Twitterで流れてきてて反響が面白かったんですよね。

公立小中高で子供の教育費をカットしながら学歴社会で圧倒的にひとり勝ちする方法 - 金融日記 http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52077877.html

始めに断っておきますが、藤沢さんの見解もひとつの見識としては理解できるものです。逆に、私自身は公教育を受けたことがほとんどない私学出身者なので、その方面については知らないことのほうが多いんですよね。

小学校受験を我が子にさせた山本家的には、もちろん将来的には中学校受験をさせたいというのはあるけど、それ以上に、同じような進学校にやってくる児童同士の切磋琢磨や、勉強する習慣をつけさせたいという環境面の期待と同時に、子供の可能性を広げられる教育をしてくれるのか、というのは大きい要素になっていました。 

私も中学受験成功組で、当時はいまと比べ物にならないぐらい受験戦争は厳しかったうえ、御三家蹴って入った慶應義塾中等部では無事に落ちこぼれて酷い中学校生活を送りました。算数はできるつもりで慶應義塾に入ったけど、受験という目標がなくなって勉強しなくなって、成績が最下位ならば受験で培ったプライドとかもコンプレックスになるわけでね。周囲も当時は私よりはるかに金持ちだったし、何か辛かった。

でも高校時代に自分を取り戻したというか、マンモス校である慶應義塾高校で恩師と言える人に出会えたという ことで、自分なりにコンプレックスや能力の限界と向き合い、勉強する習慣を取り戻し、自信がついたというのは大きいと思うわけで。

結論から言うと、藤沢さんの意見も首肯する部分がありつつ、環境をカネで買うこと、勉強する習慣をつけること、子供の一生の趣味・興味をしっかりと持ってもらうこと、子供の可能性を広げることに繋がるのであれば、受験そのものが良いかどうかはあまり関係ないのかなあと思うわけであります。挫折は人生の中での経験だけど、取り組むべき価値のある興味対象の醸成や勉強する習慣、我慢することのできる自制心といったあたりは、子供のうちしか培えないものだと思うので。

そんな拙宅山本家三兄弟は宇宙三昧でした。サイエンスゼロに出ている竹内薫さんの熱心なファンなのはいいんですが、昨年末家族でテレビ見てたら「笑ってはいけない」に蝶野正洋さんが出てきて「竹内さんだ! 竹内さんだ!」と子供たちが騒いで、まあ似ていないとは言えなくもない… ともあれ、ありがとうNHK。

蛇足ながら、そこまでして投資回収や効果がない可能性はあるじゃないか、という話はあるわけです。一応、教育費と子供の将来の所得については統計的に正相関であり、基本的には適切な子供の教育やけあをすればするほど子供の未来は確かなものにできる「はずだ」ということになります。でも、実際には慶應義塾大学や留学をしてみると、せっかく入った大学をポーンと辞めてダンスの世界に行ったり、バイトに明け暮れて中退して社員になってしまったりという奴を散見します。奴らなりに考えてのことだろうし、それ自体は別に否定しないのですが、教育に対する投資回収だという考え方をすると、採算に合わないレールの外れ方をするとそれは投資失敗だという結論になってしまいます。本当にそうなのでしょうか。

大学出てしばらく経ったとき、内部進学から大学辞めてダンサーになった元同級生が東京ディズニーランドでダンス踊ってるのを観た際は、さすがに「お前さあ」と思って声をかけづらかった記憶があるのです。ただそれもまた、彼が人生を選ぶにあたって、慶應義塾という環境の中で彼の親がダンス教室に通わせていたという「人生の下地」があって、選択肢があった結果だと思い返すことになるわけです。それが金銭的な改修に結びつくとはとても思えない人生の選択だとしても、もしも彼が人生を謳歌し、彼なりの方法で社会に還元することができていると自負するものであれば、それは誰にも止めるべきものではないとも言えます。

だからこそ、自由度が高く恵まれた環境を用意することがゴールではなくて、それを生かして子供にどんな教育を施す方針かによって、振れ幅が大きすぎて何とも言えないんですよね。あくまで教育経済学がエビデンスベースドを自称するのは良いとして、では「成果の上がらない少数派に回った児童の人生はどうコーディネートするのか」や、どうしても大勢からこぼれてしまう人間に(私もそうだったけど)どういうケアをするのかは、結局各家庭で考えなければならない、ということです。

昨夜もずーっと拙宅山本家三兄弟は三男レコメンドのスペースシャトルのNHK画像を閲覧してましたが、大学の入試改革もありますし、何よりも「好きなことに無理なくこだわること」「学ぶ習慣をつけること」「選択肢を広げること」を考えておる次第です。偉そうに書いておいて最後に言うのもなんですが、これが正しい教育だと自信もって言えるほどでもありません。他にいろんな育て方があるかもしれないので、あくまで子育て道半ばの山本家のケースに過ぎない、ということで。

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