先日、オンラインダフ屋問題をヤフーニュース個人に書いたんですよ。

「オンラインダフ屋」高額チケットの転売問題で音楽・芸能団体がブチ切れるまで
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160824-00061473/

 私はほとんどコンサートの類に自腹で買っていくような人間はありませんで、最後に行こうとしたのは忌野清志郎復活祭だったんですけど事情があって友人に譲ったぐらいですから、まあ無縁なんですよ。ただ、チケットの流通とか、興行成績といった方面には関心があるので、2011年ごろからこの手のオンラインダフ屋の話はずっとヲチしていました。

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 そのころは牧歌的で、ヤフオクが主戦場だったわけですけれども、ご存知のとおり芸能事務所や興行主が「流通対策」を打ち始め、去年にはとあるチケット仲介業者複数に対して内容証明が飛び交う事態となっております。もちろん、それ以上にチケット仲介事業自体が、言われているほど伸びなかった、興行主の本人確認徹底の方法が奏功して転売に歯止めがかかったというのはあります。

 ただ、どの芸能事務所、興行主、事業者も個人的に入手したチケットを事情があって個人的に譲渡したり、どうしても欲しい個人が入手すること自体は制限をかけたくないというわけです。このあたりにジレンマがあるんですよねえ。なので、個人情報の徹底と、顔認証などによる入場管理はデフォルトでやるとして、高額売買が可能になってしまっている一部システムの、「売り手」だけでなく「買い手」もきちんと特定できるようにしないといけない、という話になるわけでございます。

 また、記事でも書きましたが、法的な問題として、故買商はともかく犯罪収益移転防止法はポイントになります。というのも、ダフ屋というのは迷惑防止条例で規制されているものであって、別に違法そのものというわけではないので、取り締まりたい側は制限かけようにもダフ屋を法的に排除する理由がないのです。だからこそ、高額転売問題が業界で大きな騒ぎとなるのは間違いないわけですけど、あまりに制限をかけすぎると、今度は販売委託業者という縛りが取れてしまい価格統制そのものになって独禁法だなんだという流れにさえもなってきます。まあ、よほど制限すれば、という話ですが。

 ちなみに、畏友にして仲介業者の西山さんがブログでこんなことも書いておられました。

「高額チケット転売」のカラクリ(続・ #転売NO への違和感)
http://ashikagunso.blog.jp/archives/55540906.html

 書いてある内容に異論は全くないのですが、高額転売に制限をかけたい人たちは、そもそも私的に入手したチケットを私的に手放すこと、あるいは私的に欲しいチケットを私的に入手することは問題視していません。なので、個人的にプラチナチケットを欲しいという人は10万だろうが20万だろうが入手して構わないのですが、転売業者に関しては3,000円のチケットを3,100円で売却されても高額転売になるという話になります。高額転売で行われる利鞘、下駄の問題ではなく、業者であることが問題なんですよね。

 なので、本人確認の徹底は最低限のところですが、売り手について個人認証をかけていても、買い手についてちゃんと把握できている仲介業者は少ないです。その点で、メルカリなんてのは売りも買いも誰だか分からないという論外なところはありますが、警察庁的にも興行主的にも「もういい加減にせえや」というモードになるのは仕方がないのかな、と思う次第であります。