先日、阿佐ヶ谷ロフトAで中川淳一郎さんと漆原直行さんとのイベントをやった際、中川さんが「しばき隊関連のまとめ」を出し物とされていて、これがなかなか面白かったんですよ。

 ただ、個人情報の塊であるのと、人によって、立場や考え方がいろいろあり、事件の経過を追うごとに経過や行動が明らかになっていって、事実関係に対していろんなお話が出てきまして興味深かったわけです。とはいえ、個人情報の塊ですので、どうしても法的アクションだ個人間の私信のやり取りだというのが挟まると、外部からは見えにくくなってしまいます。それでも、この長大なサーガに、綺羅星のごとき登場人物が殴りあったり論争したりしているさまは、実にソソるものがあります。

 その群像劇の中で、 北田暁大さんがおられました。

北田暁大さんの某事件に対するツイートを中心に
北田暁大氏のその後の連ツイと反響(その2)
http://togetter.com/li/982139 

 私はこの方面では浅学な人間ですが、北田さんの論考やエッセイは比較的拝読しているほうです。個人的な面識はありません。ただ、この人の知性は素晴らしいものがあり、私は北田さんでないとできない仕事があるんだろうなあとずっと思っています。いまでも。

 で、その北田さんに関しては、まあ要するにカウンター勢力とされるしばき隊方面に交友はあったわけです。別に、それ自体が良いも悪いもない。ただ、今回はリンチ事件とその隠蔽みたいな流れになってしまいました。立派に犯罪なんですよね。勇士である高島章先生が振り下ろす鉄槌の如く本件を計画的に暴露しなければ、関係者間で「その程度の暴力沙汰」で終わったであろう事件なのは間違いないでしょう。 

 すったもんだはTogetterその他にもまとまってますし、ご関心の向きはぜひそちらもご覧いただければと思うわけなんですが、この手の「活動」については、どうしても「理論」や「政治」に足を突っ込んでいる人たちが自分の主義主張を補完してくれるものだと勝手に協力したうえで美化してしまい、実際には「活動」の物凄い泥臭さや人間関係のややこしさなども相俟って自壊していったり、首謀者が突然一橋大学の社会人大学院に進学して他の無学な仲間たちを置き去りにしたりします。この手の「カネと組織と人間関係」がうまく扱えない奴らは最終的に「活動」を長続きさせられるノウハウを持っていないし、ちょっとした考え方の違いや疑心暗鬼が理由で殴り合いの内ゲバに発展するような人間だからこそ、実社会でまっとうな職業にも就かずこの手の「活動」に身を投じても失うものが少ないのだ、とも言えます。

 逆に、そういう世界に失うものを持つ人が入り込んで起こしたのがぱよぱよちーん騒動であり、新紙S氏であり、bcxxx氏だったと考えると、北田さんのような人がリスクを犯してまで肩入れをするほどの世界なのか、というのはどうしても心に残るものもあります。私が言うのも野暮ですが、北田さんにはもっと相応しい場所でしっかりとした活動をしていっていただきたいと願う次第です。

 ところで、世に倦む日日さんが公開した辛淑玉女史の直筆による『Mさんリンチ事件に関わった友人たちへ』という7ページにも及ぶ文書があります。取りまとめた世に倦む日日さんも大変だったろうなと思う一方、暴行を振るった側の保護者のような立場でもあった辛淑玉女史の沈痛な感情の波が表現されており、辛淑玉女史に対する情感もまた変わる一件でした。超えてはいけない何かを仲間が踏み抜いてしまい、取り返しのつかないことをしてしまった、そしてそれを止められなかったというのは、立場の違いを超えて感じるものはあります。
 ご関心のある方は、適当にググって、どうぞ。