このところ、しばらく選挙関連の調査をやっていたりすると、争点がだいたい「雇用・景気政策」など経済とカネの回りだったのが「年金・社会保障」や「医療介護」といった高齢者関連へとどんどんシフトしていっているのが日本の現状を良く表しているよなあと思うわけであります。

 osoushiki_taimen

 先日から、それ系大手情報サイト「みんなの介護」で、社会保障って結局なんだっけ、という話をさせていただいておるわけなんですが、どういうわけかゼミ的な連載をさせていただくことになりました。学術の世界から遠いところにいたはずの私が、と思うと感無量です。3年ぐらい前まではゲーム開発でプロジェクト炎上の駆け込み寺みたいな存在と思われていましたからね。

やまもといちろうゼミ 高齢者の死に方について世界との違いを考える

 「みんなの介護」では、以前「賢人論。」のコーナーでこの手の社会保障に金を突っ込む日本社会にどういう未来があるんだろうか、という話をしました。平たく言えば、高齢者にいくら手厚い保護をしたところで、その高齢者が働いて富を生んでくれるわけではない以上、必ず社会にとっては何らかの負担となり、経済効果についてもタコが足を食うような一時的な浮上効果しかないよ、社会の余裕のあるうちしか現在のような制度は維持できないし、維持できなくなれば老人を放り投げる世の中にならざるを得ませんよ、という話を書きました。

「賢人論。」第7回(前編)やまもといちろうさん「国民に介護を義務化する総動員、大混乱の時代がいつ来てもおかしくない状況です」

 ただ、経済統計上は富を生み出さないただの一人の老人に過ぎないにしても、それは誰かの大切な伴侶であり、かけがえのない肉親であって、長生きしてねと必要とされて暮らしている方もたくさんいらっしゃいます。それを社会が「もう支えられないから」と切り捨てて放り投げてよいのかというのは別の問題だと思うんですよね。そんな社会に日本をしたかったんですか、みたいな。

 という感じで、連載が続くと思いますので、長い文章で恐縮ですがよろしくお願いします。