きょう、ソーシャルゲーム業界を含む業界団体であるJOGA(日本オンラインゲーム協会)とMCF(モバイルコンテンツフォーラム)の新ガイドラインに関するセミナーに顔でも出そうかと思っていたんですよ。

 理由はひとつで、4月1日に改定されたガイドラインについて、これを策定したJOGAとMCFで共同で解説セミナーをやるという割には、そもそも改定前から趣旨を理解してガイドラインを守っている業者が少ないからですね。

 何のためのガイドラインなんだ、というのは業界筋のみならず、今後規制が検討されていくであろうこの界隈で、業界団体としてどういう抗弁をし、各社に対してガイドラインの遵守を求めていくのだろうと興味があるので、参加各社の顔つきぐらいは見てやろうと思ってたんですが。

プレスリリースPDF
https://www.mcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/03/mcf_release_20160324.pdf 

 一番驚くのは、この自主規制業界の説明会法で、規制担当官庁の課長が挨拶することになってる点です。

 うっかりこんなところに課長呼んで、業界団体がこのガイドラインを参加各社に守らせることができず問題が紛糾したら、その業界団体の機能不全があからさまに判明するだけでなく、当該官庁や担当課長の面子が丸潰れになります。

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 たとえば、ぱちんこ業界の団体が警察官僚呼んで挨拶させるなんてことはあんまりしないわけです。癒着を疑われることは極力避けるだけでなく、団体の加盟企業がやらかしたときや、細やかな指導その他で疑義が出たとき「あの役人が挨拶した団体が問題を起こした」となるからですね。

 逆に言えば、JOGAからすれば担当課長まで引っ張り出したのだから、ちゃんとガイドラインを守ってね、というピュアな趣旨かもしれませんが、問題は、ぱちんこ業界のような射幸心を煽る仕組みを狙っているとゲーム開発者自身が喋ってしまっていることにあります。

 mixiのヒットコンテンツ「モンスターストライク」を制作した元カプコンの岡本吉起さんが、当たって気分が良くなったのか余計なことをネットのインタビューで喋り、やっぱりゲーマーに射幸性のあるコンテンツを提供しようという意志がはっきりあることを示しているわけです。先日のスクウェアエニックスの岩野弘明さんが「ガチャは時短の仕組み」と言い放ち物議を醸したのと同様、おそらくは、ここしばらく続いている高収益事業であることに酔い痴れて緩みまくっているんじゃないかと感じるところです。
 
金なし、開発たった7人…期待ゼロだった「モンスト」、なぜ驚異的ヒット?
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14528_3.html 
ガチャ問題 4月1日から施行された「JOGA新ガイドライン」の影響は? 「パズドラ」「モンスト」がいまだに“確率表示なし”な理由
なんかスクウェアエニックスが大変なことに
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/4488383.html 

[引用] 岡本 ソーシャルゲームのユーザーは、もともとパチンコのお客さんだったと思います。だから、僕らも、そこを意識して食いにいっています。グイグイ食い込んでいるので。パチンコ業界は相当苦しいと思いますよ。 

 なんですか、この万が一裁判になったら必ず証拠として提出されること待ったなしな超脇甘発言は。

 ぱちんこ業界が苦しいのは、きちんとした規制を敷かれて射幸心を煽らないよう業界団体も規制当局も機能させてきたからであって、何の規制も無く射幸性を前面に出すソーシャルゲーム業界がいま問題になって、ガイドラインセミナーをして参加各社やゲームメディアに内容を衆知し守らせなければならない状況に陥っている理由がまったく分かっていないようです。 

 今回のセミナーでは、メディア出席者には質問する権利は無いとのことなので、おとなしく会場の隅に座ってようかなと思ってたら謎の出禁になってて興味深いわけですが、 ちゃんとガイドラインが守られるようになるのか引き続きヲチしていきたいと思います。