すいません、タイトルは少し煽りました。話題になっていたので、少しだけ触れます。



現実味を帯びてきた、中国「爆買い」による日本製アニメの「終焉」

http://www.mag2.com/p/news/30120



 最初に述べておくと、著者のふくだのりゆきさんは著名な御仁ですし、書いてあること自体に間違いがあるということではありません。



 ただ、CG/VRやコンテンツ投資を見ていると、日本のアニメは日本市場での消化率が9割以上の特殊な産業です。とりわけ、売上がDVD/BR箱とパチンコ台の権利料に依存し、CGの比率が低く、異常な低価格で働いてくれる人材が湧いている話は世界的にみても、投資界隈からみてもとても歪です。


 それもあって、日本のアニメ業界は国内の市場や、せいぜいアジアの発注状況ぐらいしかレーダーが届いていないかもしれませんが、今後主力となっていくCG分野では極論を言うともっとアニメーター(オペレーター)の単価は下がります。記事中、「プレッシャーをかけて来ている」という表現もありましたが、ぶっちゃけ日本のアニメーターには海外の企画元からはあまり発注がこなくなっている現実があります。



 なお、発注元が中国になったから売上も全部中国になるというのはあまり考えなくて良いと思います。そもそも日本で売れるアニメコンテンツはそれなりの割合がもともとパチンコ業界からの出資で成り立っていて、それどころかパチンコ抜きではアニメが制作できないぐらいにまでなっているからです。現在は、テレビ業界もCG業界もお金の源流はそういう方面からのご出資を戴いたコンテンツファンドや製作委員会からのお金で成立している以上、アニメで誰が儲けるのかというのはいままでも然程関心をもたれてきませんでしたし、これからもそうでしょう。ユーザーは提供元がどこであれ、面白い作品が安価に見られて楽しめればそれでよいのです。



 アニメだけでなく、国際的なコンテンツビジネスという意味で言うならば、きちんと著作権が守られていてロイヤリティが出れば良い、コンテンツ自体も自力で製作できればなお良い、というのはあると思います。シンエイ動画が手がけた『ドラえもん』は典型ですが、いままでのアニメ業界の文脈も踏まえつつ、最終的なアウトプットはCGメインであり、製作単価は調整され、収益の基盤は日本だけでなく中国での上映でした。



http://www.shin-ei-animation.jp/doraemon/



 日本の業界の人たちからすると、アニメがアニメーターに依存しなくなるというのは想像から遠いかもしれませんが、ただ従来のアニメーターが培ってきた技術や手法ではない形で制作チームが組まれ始める現在、もしもアニメ業界が何かを立て直すとするならばこの上流のところからいろいろ見てもらってやっていくほかないんじゃないのかなと思います。



 さて、ここから出口のひとつであったパチンコ業界が干上がり始めると、いったい誰がこの辺の日本のアニメ業界を支えるようになるんですかね。