沖縄では現職の仲井真弘多さんが敗れ、知事に前那覇市長の翁長雄志さんが当選した。



翁長氏、来月にも上京し辺野古移設の反対訴え

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141117-OYT1T50103.html



 米軍基地の移設反対を主張しに東京にやって来られるという。東京で暮らしている人間としては、いままで沖縄に基地を押し付けてきて安全と繁栄を享受してきたということで、政治的にも経済的にも沖縄をどうにかしたいという気持ちは強い。



 一方で、米中対立が先鋭化する中で、最前線である沖縄の重要度は高い。日米同盟が日本の安全保障の根幹である以上、地元に反対されたのでいきなり米軍さようならとはならない。日米関係と軍事的なバックグラウンドのあり方については、我らがFinalvent爺がなぜかポリタスで興味深い記事を書いているのでそちらをご覧いただくとしてもだ。



【沖縄県知事選】沖縄県知事選後に予想される泥沼

http://politas.jp/articles/160


[引用]

◆そもそもなぜ仲井真が立候補したのだろうか?

マスメディアやネットでは普天間飛行場の辺野古移設反対派の声が際立つため、仲井真知事が辺野古移設推進派とされて批判されることが多い。しかし、中立的にかつ継続的に仲井真を注視すれば、彼が辺野古移設を推進したことはない。その主張の主眼は、普天間飛行場の撤去であり、そのための代替基地建設は沖縄県外であるべきだと一貫している。

そもそも仲井真は、本土の東京大学を卒業後、通商産業省に技官として入省し、それなりに重要なポストを歴任した有能な官僚であり、米国勤務の経験ももつ国際派でもある。官僚の手の内は熟知しているし、米国がどのような国であるかも知悉した人物である。その上で、日本政府と対決してまで今日の沖縄の基地問題の局面を切り開いてきた大田昌秀元沖縄県知事の下で副知事を務めた経験もある(ただし1993年まで)。仲井真知事は日本本土でいう保守派でもなければ、沖縄ナショナリストでもない。




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政府、翁長氏説得へ…不承認強行なら行政訴訟も

http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20141117-OYT1T50025.html



 読売新聞の記事でも、グアムへの基地移転のスイングについてはさらっとしか書かれていないが、実際には沖縄の絶対的な問題ではなく、フィリピンとアメリカの軍事関係の再強化やら、ベトナムやインドネシアへのアメリカのアプローチがどう転ぶかといったところが要素としてどうしても絡んでくるのでどうにも先を読みづらい。



 沖縄から米軍基地が完全に撤収するシナリオは早期にはあり得ないからこそ、沖縄にとってどのラインが納得できるラインなのかをきちんと見極められるような対話が必要なんだろうとは思っていた。ただ、Finalvent爺が指摘したように、仲井真さんのような人物でさえ問題を最後まで着地させられなかった中で翁長さんが混乱を収めて一定の道筋へ導けるのかと言われると微妙なのだろう。



 泥沼は仕方がないとしても、その乗り越えるべき泥沼の向こうにどんな地平線が広がっているのか、実はあんまり良く分かっていないんだよね。沖縄が、今後想定される主戦場である南シナ海への最短アクセスであり、尖閣諸島その他列島線の確保を目指すのであれば、なかなかその役割を他に担わせることも難しいのだから。



 沖縄の負担を軽減させるために何ができるのか、時節柄、地政学的な問題を抜きにできる技術革新でもあろうものならすぐにでも、と言うことなのかもしれないが。