当然私は先物ぐらいでしか原油は触らないので微妙なところではあるが、ビジネスとして資源取引自体は手がけているので興味は持っているわけです。



 で、簡単に言えば話としては2つの流れがありまして。



欧米市場、リスクオフ一服 原油先物にも買い

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18013_Y4A011C1NNE000/



 ひとつは、ルチル・シャルマ氏の『新興国なら何でも良いという時代の終わり』が、資源の大量消費時代の終焉を予言していて、これが一年半ほどのときを経て実態が本当にそのようになり資源価格が下落に転じたということで良いと思います。



 ここで100の言葉を紡ぐより、先を見通していた本を一冊読んでもらえればそれで済むんじゃないかと思うんですけれども。








 そして、もうひとつは『シェールガス革命』… と言いたいところですがそうではなく、むしろ危機が相場を引き下げている現状であります。いわゆる「4Eショック」というやつです。危機で資源をかき集めようというより、危機が将来需要を減少させるだろうから過剰供給を心配して価格が下落する。また、中東での事案は頭の痛いところだけど、テロ組織が確保した原油をカネにしようと安く市場に出す動きは確かに広がっているので、その方向からエネルギー相場が軟調になっている、という見立てであります。



「4Eショック」に揺れる市場

http://kikinzoku.tr.mufg.jp/blog/2014/post-626.html

『溜池通信』

http://tameike.net/report.htm



 吉崎達彦さんも今回の溜池通信最新号でほぼ同じ文脈で書いておられますが、現場で取引見ててもモノの動きの止まり加減は結構なもので、先日出した私のメルマガでも資源市況のおかしいところは軽く触れました。



目的がはっきりしないまま挑戦する人の脆さと凄さ

http://ow.ly/D0zgV

『人間迷路』

夜間飛行: http://yakan-hiko.com/kirik.html

BLOGOS: http://magazine.livedoor.com/magazine/50



 恐らく相場自体の長期トレンドとしてはすでに下降線に入っていて、金余りからの成長力鈍化という観点から言うとあんまり嬉しくない突然の経済問題を起こすタイミングが近づいているのかもしれないし、どうしてもそのあたり保守的に考えてしまいます。



 そのあたりを俯瞰敷衍してみると、アベノミクスが当初狙ったような成果を挙げないのも、そういう絶対的な日本の内需拡大が云々というよりも、世界経済の中から相対的に見た日本の状態というのがどうなのかというところに尽きるのではと思うわけですね。



 我が国にも、直近は消費税増税に社会保障費の拡大、政治の流動化といった様々な問題がありますが、微妙なことに、重要な問題が目白押しであるにも関わらずあまり国民が政治に関心を持たなくなってきているのではないかという別の意味の危惧もあり。本当に頭の痛いところであります、はい。